高いリピート率をあげるコーチの共通点

マンツーマンのコーチングは、通常3~4カ月を1クールとして行います。1クールが終わると、もう1クールコーチングを実施するのかどうか、契約を更新する意思があるかどうかをクライアントに尋ねます。コーチングをしていて、ある意味最も緊張する瞬間です。

いくら日頃のセッションで「コーチングは役に立ちますねえ」などとクライアントが言っていても、契約を更新しないということは、結局その程度だったということになるわけですから。

スポーツ選手のコーチが、選手のほうから、あなたの世話にはもうならない、ひとりでやるからと絶縁状を突きつけられるようなものです。

もちろん、リピートする場合もあれば、しない場合もあるのですが、中には頻繁にリピート契約を取るコーチというのがいます。

いろいろとリサーチしていくと、高いリピート率をあげているのは、決して切れの良い「すごい!」と言われるようなコーチングをしているコーチばかりではありません。

それどころか、そういう切れの良いコーチングを表に打ち出すようなコーチの中には、意外にリピート率が低い人もいたりします。

では、何クールも何クールも繰り返しコーチングを受けたくなるコーチというのは、いったい他のコーチと何が違うのでしょうか。いくつか要素はあるのですが、そのうちのひとつはどうも「贈り物」をたくさんしている、ということらしいのです。

贈り物の向こう側には、相手の努力が垣間見える

例えば、クライアントが部下のマネジメントをテーマにコーチングを受けていたりすると、マネジメント理論として秀逸と言われているような本をわざわざ買って来て贈る。

雑誌に役立つ情報が載っていれば、すぐにコピーを取ってそれを贈る。誕生日などはもちろん覚えていて、カードや心のこもったプレゼントを贈る。出張に行けば、その出張先から短い言葉を添えて絵葉書を贈る――等々、たくさんの贈り物をしているわけです。

贈り物をされるとうれしいのは、突きつめると、自分のために時間と体とお金をわざわざ使ってくれた、その相手の努力が贈り物の向こう側に垣間見えるからです。

ポイントはどれだけの努力がそこに介在するかです。高額であれば良いというものではありません。

億万長者からブランド物をプレゼントされても、その人に対する気持ちは劇的には変わらないでしょうが、同じような暮らしをしている友だちが、本当にいつもお世話になっているからと奮発して買ってくれた物にはありがたみを感じるはずです。

オフィスのデスクで、もらったクリスマスプレゼントとメッセージカードを見ている男性
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