麻原彰晃やオウム真理教を知らないZ世代の驚きの死生観

Z世代にとって「お墓」はとても大事で、「死後世界」や「霊魂」の存在はしっかりと肯定する――。20歳前後の大学生を対象に「死生観」に関する最新調査をしたところ、一見、科学万能主義の世情とは相反する調査結果が出た。近年、団塊世代を中心にして「墓じまい」や「簡素な弔い」の傾向が強まっているが、若者の多くが、祖父母や両親の“決断”に「納得していない」可能性があることがわかった。

「死生観に関する調査」は、筆者が非常勤講師を務める東京農業大学地域環境科学部の授業で毎年4月に実施してきた。2018年以降、2024年までの毎年4月に計6️回実施(コロナ禍の2020年は実施せず)。このたび、データを解析した(有効回答数1733)。なお、回答者の過半数は1年生(18歳、19歳が中心)である。

ノートパソコンの画面を見つめる若い女性
写真=iStock.com/kyonntra
デジタルネイティブであるZ世代の意外な死生観がわかった ※写真はイメージです

まず、「墓参り」や「墓の維持」にかんして、複数の設問を用意した。「墓参りの頻度」については「1年に1回以上」墓参りすると答えた割合が全体の73%に達した。春夏のお彼岸やお盆、命日など年に複数回、定期的に参拝する割合は15%であった。

この結果からは、日本人の墓参りの習慣は変わらず続いており、先祖を敬う心は代々、受け継がれてきていることがわかる。

他方で、仏壇や神棚の保有率は年々減少してきているのも事実だ。戦前までは、ほぼすべての世帯で仏壇・神棚を祀っていたといわれている。

しかし、NHK放送文化研究所が2018年に実施した「宗教に関する意識調査」(18歳以上、有効回答数1466人)では、自宅に仏壇等の宗教的アイテムを置いている割合が、2008年では51.4%だったのが2018年は39.7%まで急速に減ってきていた。祈りの場と時間の喪失は、日本人の生活に少なからず影響を与えていくことだろう。

続いて東農大生に、「あなたは、墓は必要だと思うか」と、問うてみた。すると、「絶対に必要」が21%、「必要」が37%、「どちらかといえば必要」21%(お墓の必要性を肯定した割合は79%)との結果が出た。

一方で、「墓はなくていい」は8%で、「墓は必要ない」は1%(お墓の必要性を否定した割合は9%)に過ぎなかった。「墓は必要」との回答が、「不必要」との回答を圧倒していた。この割合は調査を始めた2018年以降、例年、同じような割合である。

同時に「あなたの祖父母・両親はどんな墓に入れたいか」について聞いた。「一族の墓に入れたい」が71%となり、「海や山野への散骨」9%「墓はいらない」2%を大きく上回った。若い世代が「一族の墓を守っていきたい」と、強く願う気持ちが浮き上がってきた。これらは、想定外であった。

なぜなら、彼らの祖父母・親世代の間では「墓はいらない」「墓じまいしたい」と考える人が急増してきているからだ。