受験も経営も不得意を切り捨て、得意を伸ばす

ずるいようですが、私のように、できない科目をいかにやらないで合格するかを考えるのも、作戦の1つといえます。

しかし、このようなことは実社会では頻繁に行われています。「苦手なことをいかにやらないで、得意なことでそれをカバーして、目標に到達するか」というのは、経営の世界では、最も効率的な経営手法とされています。

現実にビジネス分野では、不得意事業を切り捨て、得意事業に特化して業績を上げるという、強みを生かす経営が盛んです。

もちろん、勉強の場合は、どの科目も最低限やっておかなければいけないことはありますから、苦手だからといってまったくやらないわけにはいかないでしょうが、それでも基本路線としては、受験対策も経営も同じです。

また、「○日が納期だから、それまでにこの仕事を仕上げなければいけない」というスケジュール管理も、そのまま受験に当てはまります。

「あと1週間勉強時間があったら合格できたのに」というようなことは、受験では通用しませんし、もちろん、実社会でもそういう考え方は通用しません。

さらに、メタ認知を働かせる経験という点でも、受験はある程度役に立つはずです。

ToDoリストと時計
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受験勉強で感情と結果のつながりを知る

たとえば、数学の試験ができなかった後に、英語の試験を受ける場合、数学の試験の失敗で落ち込んでしまって得意の英語のテストができなかったということが起こるかもしれません。

しかし、模擬試験などを通じて、「感情のコントロールをしなければ、最高のパフォーマンス(成績)を発揮することはできない」ということがわかってくれば、そうならないような対策も立てられるはずです。

これは、自分の認知特性を一段高いところから見つめ直し、コントロールするというメタ認知そのものなのです。

このような感情と結果のつながりを知っていれば、社会に出てからも「落ち込んでいたので、この仕事ができませんでした」というような事態を回避することが可能です。

このように、受験勉強というのは、社会に出てからも十分に通用する現実の問題解決能力を養うために、とてもよいトレーニングになると私は考えています。