人気と入試難度が高まっている背景

2010年代後半以降、MARCH附属高校の入試難度が顕著に上昇し、高校受験市場において大きな変動をもたらしました。この現象の背後には、文部科学省による私立大学の定員厳格化が影響しています。

入学定員を超過する入学者を厳しく取り締まった結果、一時期、私立大学全体の入試難度が上昇しました。

この情報がメディアによって大きく取り上げられ、受験生や親の不安を煽る形となり、結果としてMARCH附属校の人気と入試難度が高まりました。

早慶附属校ではなく、MARCH附属校に人気が集中するのには、「実力養成ルート」と「中学準拠ルート」の双方の受験生が受けやすいという高校受験特有の構造にあります。

「実力養成ルート」
入試の得点力強化や、将来の難関大学受験に向けた実力養成に全振りした学習ルートです。公立中学校のカリキュラムに準拠せず、塾やコースによっては高校課程にも踏み込む発展的な学習を進めます。勉強が得意な中学生、自立学習が身についていて、定期テスト勉強は自分でできるタイプの子に向いています。やりようによっては、中高一貫校のトップランナーと互角以上の力をつけることもできます。ただし、向き不向きがはっきりしています。

「中学準拠ルート」
公立中学校のカリキュラムに準拠して学習をしていくスタイルです。高校受験のメリットである「中学の授業が役に立つ」ことを最大限に生かして、中学校の授業をしっかりと理解して、定期テストで高得点を取りながら内申点を確保し、入試の得点力を強化していく。高校受験の王道であり標準ルートです。

高校受験唯一の「レッドオーシャン」

早慶附属校は「実力養成ルート」でないと対応が難しいため、附属校人気が過熱しても、その難しさから受験者数があまり増えません。

それに対して、MARCH附属校は受験の参入障壁が低く、中学準拠ルートの受験生も含んだ、より幅広い学習背景を持つ生徒が受験することになります。都立進学指導重点校への進学を目指す生徒も、高校受験をするときにMARCH附属校を併願校として選択する傾向にあります。

二つの学習ルートの受験生がなだれ込んだ結果、MARCH附属校は高校受験市場における唯一の「レッドオーシャン」、つまり非常に競争が激しい市場へと変化しました。

いまや、都立進学指導重点校から早慶大や中堅国立大学を狙える学力層でないと、高校受験でMARCH附属には到達しないのが現実なのです。