自転車事故を減らすにはどうすればいいか。自転車評論家でジャーナリストの疋田智さんは「右側通行する逆走自転車を減らすことだ。京都市では、自転車ピクトグラムが描かれたエリアを広げることで自転車の左側通行を徹底し、事故を減らすことに成功した」という――。

観光客と同じくらい多い自転車ピクトグラム

昨今の京都に行くと、これはもう誰もが気づく通り、外国人観光客だらけだ。京都駅に降り立ったときから、もう外国人密度がスゴい。清水寺に行くまでのあの小道なんて英語や中国語にかき消されて日本語が聞こえない。

とまあ、観光客が多いのは、もう誰もが知っている。で、ご存じだろうか、もうひとつ多いものがある。

京都を知る人であればあるほど知っているのが、路面に描かれた自転車ピクトグラムだ。

京都市内の道路に描かれた自転車ピクトグラム
筆者撮影
京都市内の道路に描かれた自転車ピクトグラム

そして、駐輪場。さらに言うなら、バスの中吊り広告などの政策アピール「自転車みえる化計画by京都市」の手合い。この街は、昨今、なんだか自転車プレゼンスがやたらに目立つのである。

道路1本、2本ではなく「面」で広める

京都市の「自転車総合計画」は今からもう14年前、2010年に始まった。

最初に策定したポリシーが「自転車の通行空間を示すこと」。要するに自転車の左側通行を徹底させることだった。これはまあどこの自治体でもやっている。

ただ京都の違うところは「自転車はエリア単位で考えなくては」という考え方だった。道路1本、道路2本という単位でやっても仕方がない。生活者目線では、自転車で行く範囲は、常に「面」だ。

だから最初の自転車ピクトグラムと、矢羽根(方向を示す矢印のようなマーク)は、京都市役所前の1ブロック、2ブロック、という単位で描かれていった。それを「今年はどこエリア、来年はどこエリア、再来年は……」と続けていったわけだ。

京都市の「自転車ピクトグラムエリア」のイメージ
筆者提供
京都市の「自転車ピクトグラムエリア」のイメージ

つまり該当エリアなら、縦通りにも横通りにも自転車マーク。京都中心部の細街路には、これでもかとばかり縦横に敷かれ、今ではどんなに狭い通りでもピクトグラムを見ないところがないくらいだ。

こんなに狭い路地にも「自転車は左側通行」のピクトグラム
筆者提供
こんなに狭い路地にも「自転車は左側通行」のピクトグラム