自己効力感は「未来」への自信

自己効力感に似た言葉に自己肯定感があります。自己肯定感とは、自己を尊重し、自身の価値を感じることができ、自身の存在を肯定できる力です。

自己肯定感が高い状態だと、「ありのままの自分を受け入れること」ができるので、失敗したときでも、ダメージは小さくて済みます。「今度は頑張ろう」「失敗しても気にするな。それでも自分には価値がある」と捉えられるからです。

つまり、自己肯定感とは「できてもできなくても、ありのままの自分を受け入れられる力」となります。これは自己効力感が「できると自分を信じられる力」であることとはかなり異なります。

何が異なるかというと、この2つには「できない自分をどう捉えるか」という点に大きな違いがあります。自己肯定感が高い人は「失敗してもいい」に行き着くわけですから自分を変える必要がありません。できてもできなくてもいいわけですから、自己効力感が高くなりにくいといえます。

また、「自己効力感」と「自己肯定感」は、自分に対する肯定や自信を表現する言葉としては共通していますが、どの時点での自分を評価しているかが決定的に違います。自己肯定感はあくまで過去や現在の自分を対象としています。

だから、できなくてもいいわけです。それに対して、自己効力感は「達成できるか」どうかで変わるので未来の自分が評価対象になります。つまり、「私はできた!」が自己肯定感であり、「私はできる!」が自己効力感になります。

過去、現在、未来への方向を示す三方方向の標識
写真=iStock.com/R-J-Seymour
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自己効力感が目標のイメージを明確にする

では、なぜ習慣化に自己効力感が必要なのでしょうか。なぜ、自己効力感が高いと脳の「GPS機能」(ラス)が働くのでしょうか。これは自己効力感が特定の課題や目標に対する信念であることに関係しています。

そして、「私は絶対にできる」「できないはずがない」という信念が強ければ、目標を明確にイメージできます。視覚化できるのです。たとえば、起業時に「絶対に5年後に年商1億円にする」と自信があればあるほど5年後の自分の姿、事業内容や年収、ライフスタイルなどが鮮やかにイメージできるはずです。

そして、イメージできればできるほど脳のラスはそれを重要な情報と思い込み、目標達成に必要な情報に焦点を当てます。結果的に行動を起こしやすくなり、習慣化につながります。

自己効力感は行動への動機づけにもなります。