成功のカギは「夢」次が実行に移す頭脳

こう語る清原氏は、実際に数多くの経営者と向かい合ってきた。そのなかで、「大成功する経営者」とそうでない経営者には、どのような違いが存在すると考えているのだろうか。「革新的なイノベーションを起こすのは創業社長であることがほとんどなので、創業社長に限って話す」と前置きしつつ、次のように答えた。

「大きく成功する創業社長には必ず大きな夢があり、それを実現するためにはどうすればいいのか、その手段と戦略を常に考えています。成功への一番のカギは、この『夢』です。『ビジョン』もしくは『意志』と言い換えてもいいかもしれません。

次に大事なのが、それを実行に移すための『頭脳』。この順番は逆ではありません。そこまで超優秀というわけではなくとも、夢実現のために努力と工夫を続け、成功する経営者は存在するからです。たとえ優秀な経営者でも、夢や強い意志がなければ大きな成功はありえません。夢がないと、ある程度成功した時点で『もうこれでいいや』と満足してしまうからです」

今は部下や周囲の話をよく聞き、対話しながらチームをマネジメントしていくリーダーが求められているように感じる。冒頭で挙げたようなトップ経営者はそんなタイプではなく、「ワンマン」の印象があるが、結局成功するのは「ワンマン」タイプなのだろうか。

大成功する経営者(創業者)の共通点

創業社長は意見を求めるただのワンマンは要注意

「それについては大きな誤解があると私は考えています。『唯我独尊でわがまま』な創業経営者は周囲の声を聞かないと思われがちですが、実際はむしろその逆。さまざまな人の話を注意深く聞き、『どこかで役に立つかもしれない』と決して見落とさないようにしているものなんです」

清原氏のヘッジファンドで最初に投資したのは、大手家具メーカーのニトリだった。同社の似鳥昭雄社長といえば、ワンマン創業社長の典型と感じる人もいるだろう。実際、清原氏が初めて会ったとき、投資家嫌いでも知られる似鳥社長は、「家具の素人と話してどうなる。時間の無駄だ」というような態度だったという。

しかし、清原氏が「家具って、新居を構えるときに一回買って、それで終わりになりますよねえ。例えばフランスでは、ソファーは買い替えないけれど、それを覆うファブリックは替えたりするでしょう? カーテンだって季節ごとに替えるなど提案して、リピートビジネスをつくり出せないもんですかねえ」と話したら、似鳥社長は顔色を一変させて話を聞いてくれたという。

しかし、これは「創業社長の場合」と清原氏は念を押す。

「創業社長は自分のすべてをかけて会社を経営していますから、会社を成長させる重要な情報やヒントを少しでも多く求めているのです。これがサラリーマン社長でワンマンだと最悪。必ずと言っていいほど経営は腐敗します」