わがままとは、「自由に生きる」ということ

「わがまま」の定義って何でしょう?

中尾 ミエ氏
中尾 ミエ
歌手、俳優

1946年生まれ。62年のデビュー曲「可愛いベイビー」が大ヒット。以降、コンサート、TVドラマ、バラエティ、舞台、映画など幅広いジャンルで活躍する。著書に『76歳。今日も良日 年をとるほど楽しくなる70代の心得帖』(アスコム)。

最近は「老害」という言葉もあるくらいで、特にシニアのわがままに対して世間はきびしいです。そもそもわがままという言葉自体、どうしたっていい響きには聞こえません。それは「自分がしたいことをする」以上に、「他人の事情や都合を考えない」という意味を感じるからではないでしょうか。

でもわがままとは、「自由に生きる」ということでもあると思います。他人に気兼ねせず、だけど人に迷惑はかけず、自分の人生を思いきり生きる――。

そう定義するなら、私はわがままに生きてきました。15歳で渡辺プロダクション(現・ワタナベエンターテインメント)に入ってから、常に新しいことに挑戦してきました。「前例がないからダメだ」と言われれば、「前例がないから私がやるんだ」と張り切ったり……。はたから見れば、結構なわがままだったかもしれません。

いまでこそ髪型はショートヘアが定番ですが、デビューしたてのころはポニーテールでした。でも、くせっ毛なので一生懸命束ねても、おくれ毛がクシャクシャ出てしまう。当時の女子のヘアスタイルは、きっちりセットするのが標準だったから、周囲の大人から「その髪型、何とかならないのか?」と注意されることもありました。でも、「これが私のスタイルです」と貫いたんです。

ところがデビュー曲「可愛いベイビー」がヒットしたら、急に手のひらを返したように「その髪型がトレードマークだから」と褒められ始めた。もう頭に来ちゃって、美容院に駆け込んでバッサリ切ったんです。若さゆえの行動でしたが、自己主張もよい方向に転がれば、個性的と評価されます。