地震を予測することはほぼ不可能

では、こうした直下型地震は、いつ起きるのでしょうか。結論から言えば、予測はほとんど不可能です。というのは地震を起こす周期は数千年という長いスパンであり、その誤差は数十年から数百年もあるからです。みなさんが求める何月何日に地震が起きるという予知は、もともと無理なのです。

困ったことに、活断層は現在調べられている他にもたくさん存在します。山野に隠れていた未知の活断層が直下型地震を起こした例も少なくありません。たとえば、2000年の鳥取県西部地震や2008年の岩手・宮城内陸地震は、それまで未知であった活断層が動いたものです。

地震の発生後に活断層が発見された報告も珍しいことではないのです。よって、私はどこで新しく活断層が発見されても、またどこで直下型地震が起きてもまったく驚きません。

倒壊した家屋
写真=iStock.com/gyro
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地震で激しく倒壊する建物の共通点

私は1995年の阪神・淡路大震災が起きた直後に、神戸の被災地に入って調査を行いました。そのときに驚いたことがいくつもあります。全壊した家とまったく破損していない家が場所によってきっちりと分かれていたことです。これは地盤の状況を如実に表していたのです。

たとえば、六甲山地から流れ下る河川の自然堤防に当たる場所の家屋は、しっかり立っていました。ここは川が運んできた粒度の粗いれきなどが地下を構成しており、比較的固い地盤となっていました。

それに対して、自然堤防から離れた地域の建物は、激しく倒壊していました。これらの土地は、川から運ばれた砂や泥などの軟らかい堆積物によって覆われた地域です。すなわち、固い礫層の上か、軟弱な沖積層上かで、大きく揺れ方が異なっていたのです。

さらに、高台に近い場所では、同じ整地された区画でも被害状況がまったく異なる住宅群がありました。土地を整地したときに、削られた方の地盤の上に立っていた家は残り、盛り土をされた方の家はひどく崩れていました。

つまり、盛り土の分が軟弱な地盤となっていたのです。また、以前は溜め池であったところを埋め立てた地域にも、同様の大きな被害が出ていました。