筆者が「税額控除」をおすすめするワケ

では、どちらが得になるのかという話ですが、私がクライアントに提案する際は基本的には税額控除をおすすめしています。

というのも、税額控除は税金から直接差し引くことができるため、節税対策として非常にダイレクトに効果を発揮するから。特別償却はあくまでも減価償却の前倒しなので、耐用年数までで考えると、トータルの償却費は変わりません(購入時の事業年度の法人所得を減らしたい場合には有効です)。

ただし、利益が低く法人税が少ない会社であれば、特別償却のほうがいい場合もあります。たとえば利益が20万円の会社だと、先ほどの1000万円の機械を購入すると、特別償却を使うと300万円を利益から差し引くことができるため、280万円の赤字になります。その場合、赤字なので法人税はゼロです。

一方で税額控除を選択すると、20万円の利益ですから法人税は40%乗じて約8万円、税額控除は法人税額の20%が上限ですから8万円×20%=1.6万円しか控除ができない計算になります。つまり納税すべき法人税額が8万円-1.6万円=6.4万円となり、特別償却のほうが結果的に節税効果が生まれるという計算になります。

もちろん、赤字にしたくない場合は税額控除のほうがいいですが、税金を払うのが嫌ですという会社の場合は、特別償却のほうがメリットが大きいでしょう。

税金の計算をするビジネスマン
写真=iStock.com/Shutthiphong Chandaeng
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「借り上げ社宅vs.住宅手当」お得なのはどっち?

借り上げ社宅と住宅手当の支給、どちらも会社が用意する福利厚生として魅力的ではありますが、選べるのであればどちらがいいでしょうか。

結論からお話しすると、借り上げ社宅のほうが、さまざまな面でメリットが大きいと言えるでしょう。これは、住宅手当の場合、支給金額がそのまま課税対象になってしまうからです。

つまり、住宅手当が支給されることで給与が底上げされ、それに伴って所得税、住民税、社会保険料が上がってしまうということです。

一方、借り上げ社宅の場合はどうでしょうか。

借り上げ社宅の場合、「企業が社員から受け取っている家賃が賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は給与として課税されない」という決まりがあります。

つまり、企業が家賃を払い、従業員から賃料の一定の割合の金額を徴収しておけば、その差額に所得税や住民税は課税されません(ちなみに賃貸料相当額というのは、家賃を指すのではなく、別に算出方法があります)。

そうなると、住宅手当が支給されるよりも、借り上げ社宅のほうが課税される金額が少なくなるため、同じ金額であれば借り上げ社宅のほうがお得という結果になります。

借り上げ社宅と住宅手当で考えたときには、従業員にとっては借り上げ社宅のほうがありがたいですし、経営者としては社会保険料の負担を減らすことができるので、やはり借り上げ社宅のほうが得になると言えるでしょう。