規制はできないが、放置するわけにもいかない
混乱を利用しているのは共和党だけではない。ニューヨーク・タイムズ(5月2日)は、ロシア、中国、イランが一連の抗議行動をアメリカ批判の材料にしていると報じている。
ロシア当局との関係が疑われるオンラインニュースは、アメリカの大学キャンパスで起きている衝突を「バイデン政権の失敗」と報道し、中国でも「警察による取り締まりは、言論の自由に関するアメリカのダブルスタンダードを暴露した」とする論調が広がっていると指摘した。
同紙は、こうした外国勢の介入を「米国内の緊張を煽り、世界での地政学的ポイントを稼ぐため」、また「バイデン大統領の再選の可能性を低くするため」と伝えている。
アメリカの若者の抗議行動は、ここまでの影響を与えている。いや利用されている。
はっきり言って学生運動に関して、バイデン氏ができることはほとんどない。活動の規制は言論の弾圧にあたるし、反ユダヤ暴力を理由に警察を送れば、支持母体の強い抵抗にあう。バイデン氏は重ねてイスラエルを強く批判し、武器供与の停止まで警告しているが、事態は好転の兆しさえない。かといってイスラエルを全面否定することもできない。まさに八方塞がりの状況だ。
名門大学の学長が立て続けに辞任した今回の騒動は、バイデン氏の首にも指がかかる事態に発展するかもしれない。