天達武史
1975年神奈川県生まれ。27歳のときに気象予報士の資格を取得。日本気象協会に所属し、フジテレビ系列の情報番組「とくダネ!」の専属気象予報士に。同番組の司会者、小倉智昭が呼びかける「あまたつ~!」で、全国的に人気を博す。

上は5歳の長女、下は2歳の長男と2人の子供がいますが、仕事が忙しく、まともに顔を合わせられるのは休日ぐらいなんです。そんな具合なので、長男は、週末たっぷり遊んであげると「パパ、好き!」と言ってくれますが、平日になって、顔を見なくなると「パパ、嫌い!」と言われてしまう。こういう雑誌で話す資格は、本当はないんですよね……(苦笑)。

今は、休日の家族との触れ合いが父親としての生命線です! どんなに疲れていても、朝は日の出とともに起き、みんなで朝ご飯を食べる。そして、昼間は子供が行きたい所へ出かけ、夜は早めに寝る、というのがわが家のパターン。というのも規則正しい生活こそが、子供には大事だと思っているからです。さらに、遊ぶときはちゃんとおもちゃを片づけるとか、絵を描くのなら根気よく集中してやるべきだとか、基本的なことを、折にふれ、教えるようにしていますが、まだまだ効果は出ていないようです。

僕は、勉強よりも、何でも一人でできる能力を身につけたり、学校で学べないような、人間性や人間の幅を豊かに大きくしてくれる知識を得ることが大切ではないかと思っています。今住んでいるのは、神奈川県の沿岸部ですが、海も山も両方あって、自然が豊富な場所。自然の大切さや、エコロジーなどを学んでくれたらいいなとは思っています。でも強制はしません。子供が、最終的にそれをいいことだと実感して選択してくれるのが、理想です。

それと、一度決めたことは、目標に向かって突き進むべきだということも教えたいですね。僕は、気象予報士になる前、長い間外食チェーン系レストランで働いていました。そのお店は海の真ん前の観光地にあったので、お客さんの入りが天気にかなり左右されるんですね。雨が降ればお客は半分、晴れれば3倍というふうに大きな差が出てしまう。だから食材の仕入れの参考にするために、天気予報はとても重要。最初はその知識を得るために「気象予報士の資格を取ってもいいかな~」くらいの軽い気持ちで勉強に挑戦したんです。

でも、そんな簡単に予報士の資格は取れません。現在の合格率は5%ほどだと聞いています。僕は、7回目にしてやっと合格できたのですが、途中で「永遠に受からないんじゃないか」とあきらめかけたこともありました。でも、最後まで自分はやれると信じたこと、そして、妻の後押しがあったからこそ受かったのだと思っています。彼女が「週末まとめて勉強するくらいなら、仕事に行く前の1時間だけでも、毎日勉強したほうがいい」と、アドバイスをくれたんですね。やってみたら、がぜん集中力がアップし、勉強がはかどった! たぶん、僕のことをよく見ていて、週末にまとめて勉強するより、毎日短時間勉強するほうが適しているとわかっていたのでしょう。女性の観察力ってすごいなと感心します。

子供たちに対してもそう。彼らの性格や個性を見極め、適性を把握するのは妻のほうが向いているような気がします。天気図でも、低気圧とか前線とか、見るべきポイントというのが、必ずあるんです。そこを注意深く見ていくと、天気がこの先崩れるとかがわかるんですね。ただし、僕は天気図をきちっと見ることはできても、子供に対してはなかなかできなくて……(笑)、今は、コミュニケーションをとることが精いっぱいの状態。本当に妻には頭が上がりません。こうやって人前に出られるようになったのも、実は妻のおかげなんです。

(東野りか=構成 アラタケンジ=撮影)
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