「死」を意識して初めて気がつく働くことの意味

Eストアー 石村賢一 代表 
1962年生まれ。 日本大学中退。アスキーなどを経て、99年にEストアー設立、独自ドメイン店舗サービスを展開。

私は社員によく本を配る。対象は全員であったり、本の内容を見て読んでほしい一部の社員であったりもする。

たとえば浅田次郎の『椿山課長の七日間』は社内の全課長に配った。働き盛りの課長が、ある日脳溢血で死んでしまうのだが、天上界のSACという組織に異議申し立てをすることで7日間だけ別の肉体を借りて生き返ることが許される。生きているときには見えなかった働くことの意味、世の中の真実を、主人公は初めて見出していく。読み終わったとき、自分は案外一生懸命生きているじゃないかと思えたし、人生は複雑ではなく単純なのだという安堵感もあった。だからこそ楽しく生きなければ損だと思った。

(近野ひろ美=構成 永井 浩、久保田史嗣、芳地博之=撮影)
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