テスラの利益率が急降下

本業からどのくらい効率的に利益を出せたかが判る営業利益率は2024年1~3月期で5.5%と、トヨタの11.13%を下回っている。

また、ブルームバーグが発表した2024年通年予想では、テスラが8.7%まで低下する一方、トヨタは11.9%まで上昇する。

2022年に、テスラの営業利益率がおよそ17%、トヨタは約8%であったことを思えば、テスラの強みが失われつつあることは明らかだ。

「10年で自動車生産の半分はEV」を自ら否定

イーロン・マスク氏も豊田章男氏も、目指す方向性は似ている。販売台数で稼ぐ大衆車路線である。

だが、トヨタはラインナップも豊富で、あらゆる階層のニーズに対応している。それに対し、マスク氏のテスラはEV一本足で、しかも高級モデルに偏っており、これまでは主に裕福層を相手にするビジネスモデルで勝負していた。

テスラのEV専業や垂直統合型の経営、アルミダイカストでEVの車体構造を一体成形する技術のギガキャスト、ハードウェアでなくオンラインのソフトウェア改修でEVの性能を上げるOTAなどは、トヨタがかなわない強みであるとされてきた。

だが、それも株式市場が天井知らずの拡大を続け、カネに糸目をつけない「テスラ信者」が購買層である限り持続できた経営モデルだ。

マスク氏は2017年7月に、「この先10年で米国における自動車生産の半分はEVになる」と楽観的な見通しを語っていた。

だが、テスラの時価総額がピークを付ける直前の2021年10月にはより現実的になり、「すべての内燃機関車をEVで置き換えるには、最低でも30年から40年という長い時間がかかる」と発言していた。

電気自動車の電力充電
写真=iStock.com/UniqueMotionGraphics
「10年で自動車生産の半分はEV」を自ら否定(※写真はイメージです)