加入している保険会社がわからない時は…
災害で保険証券が流失、焼失したらどうなるのかも気になるところです。加入している保険会社が分かれば連絡の取りようがあるのですが、どこに加入していたかすら分からなくなるケースがあります。損害保険、生命保険ともに、そのような事態に対応する仕組みを整えています。
日本損害保険協会が実施するのは「自然災害等損保契約照会制度」で、協会内に設置した「自然災害等損保契約照会センター」が受付窓口となっています。災害救助法が適用された地域等に住んでいる人が対象で、被災者本人やその親族(配偶者・親・子・兄弟姉妹)が利用できます。
当該センターに照会をすると、センターから協会の会員である損害保険会社に連絡し、各社は契約の有無に関する調査を行います。該当する契約が存在する場合は、原則として、その損害保険会社から照会した人に連絡がいきます。いずれの損害保険会社にも契約がない場合は、センターからその旨の連絡がいくことになります。
被災地では現金でしか買い物ができない
一方、生命保険協会では「生命保険契約照会制度(災害時利用)」を設けています。災害救助法が適用された地域において、家族等が被災して死亡または行方不明となった場合、その家族等が加入している生命保険契約の有無を、当協会の会員である生命保険会社に確認する制度です。
利用できるのは、照会対象者の配偶者や親、子または兄弟姉妹等です。契約の存在が確認された場合、照会した人自身が各生命保険会社のコールセンターに連絡をして、請求手続きを行います。
ちなみに、生命保険契約照会制度は災害時以外の利用も可能です。生命保険に加入しているかどうか、情報共有がないまま家族が亡くなったり、認知症になった場合、有料にはなりますが(災害での利用は無料)、生命保険会社42社に対して一括照会してもらえます。
保険加入だけが「自分で備える」ではありません。災害時のお金に関して、平時から備えておきたいことを確認します。
まず、大きな災害に見舞われた直後から必要になるのが現金です。最近はキャッシュレス決済が中心となり、あまり現金を持ち歩かないという人が増えています。しかし、災害後しばらくは停電が続くことが多く、現金でしか買い物ができなくなってしまいます。現金を引き出そうとしても、大半のATMは使えなくなりますし、一部の稼働しているATMに利用者が殺到する事態にもなります。