安倍元首相は「愛子天皇」を認めていた

しかし、愛子天皇誕生には越えなければならない高いハードルがある。その上、政治家たちの動きが鈍く、2021年に政府の有識者会議が提出した、皇族数の確保のために「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する」「旧宮家の男系男子が養子縁組で皇籍復帰する」の2案の意見書さえも、長く店晒たなざらしにされてきた。

しかし、ようやく昨年10月30日に岸田文雄首相が衆院予算委員会で、安定的な皇位継承などを検討するため、自民党内に総裁直轄の新組織(会長は麻生太郎副総裁)を設置したことを発表した。

さらに今年4月に入って、額賀福志郎衆議院議長が促したこともあって、立憲民主党、公明党、国民民主党が意見書を提出。各党の考えがまとまり次第、国会で協議が始まるようである。

しかも、支持率低下に悩む岸田首相が、起死回生の支持率アップ策として、愛子天皇実現に向けて動き出すのではないかという“観測”も流れてきている。

以前にもここで触れたように、故・安倍晋三元首相は女系天皇を絶対認めないというスタンスだったが、女性天皇は認めてもいいと考えていたといわれる。

この宙ぶらりんな状態を早く解決すべきである

さらにいえば、2006年に小泉純一郎首相(当時)が衆議院本会議での施政方針演説で、「皇位が将来にわたり安定的に継承されるよう、有識者会議の報告に沿って、皇室典範の改正案を提出します」と述べ、その後、有識者会議が最終報告を出している。

そこには、女性天皇および女系天皇(母系天皇)を認める、皇位継承順位は男女を問わず第1子を優先とする、女性天皇および女性皇族の配偶者になる男性も皇族とする(女性宮家の設立を認める)と明確に書いてあったのだ。

このときは、秋篠宮夫人・紀子さんが悠仁さんを懐妊したことで議論は立ち消えとなり、答申を受けた法案の提出も見送られることになってしまったのだが。

自立した一人の女性が自分の人生設計さえ考えられないまま放置されてきたことを、この国の政治家や国民は猛省するべきである。そして、すぐにも彼女を宙ぶらりんな状態から救い出してあげようではないか。

もちろんその選択肢には、彼女が自らの意思で皇室を離れる自由も含まれるべきだと思う。

少し古い論考だが、政治学者の水島治郎氏が朝日新聞のインタビューに答えた記事から引用しておきたい(朝日新聞デジタル、2021年12月1日11時00分)。