心理的安全性の高さが会議を「拓く場」にする

効率を重視する会議は、あらかじめシナリオが用意され、予定調和型に陥りやすい。結論を想定せず、シナリオを用意せず、本気で議論すれば、効率は圧倒的に悪くなる。白熱した議論のコーディネートは、スキルと経験が必要であるから簡単にできないのだ。

風土改革の最前線では、シナリオ通りの会議を「閉じる場」と呼び、活発な議論が起こる会議を「拓く場」と呼んでいる。「閉じる場」では、何ごとも「できるか」「できないか」を基準に検討される。スキルと経験を積み重ねることで、「拓く場」になる「必要か」「意味があるか」という思考が醸成される。

トヨタの労使協議会でも、現場リーダーの工長が上司である課長にものが言いにくいという問題が取り上げられていた。トヨタでさえ、会議はまだまだ「閉じる場」が残るのだろう。誰もが安心してすべての情報を伝えられる会議、つまり心理的安全性が高い会議ではないということだ。

ダイハツはじめ不正問題を起こした3社で、どれだけ「主権を現場に」が浸透していくか、今後に注目したい。

(構成=伊原直司)
【関連記事】
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ【2022編集部セレクション】
「今から行くから待ってろコラ!」電話のあと本当に来社したモンスタークレーマーを撃退した意外なひと言
実は賃貸に住む建築家が多い理由…プロがこっそり教える「住宅会社が絶対に言わない"住まい"の真実」
「それって感想ですよね」は理屈がおかしい…「屁理屈で論破してくる人」を一発で黙らせるシンプルな返し方
トヨタ初代社長の息子は「二代目はボンクラが多い」と更迭された…豊田一族の系譜を見ればわかる強さの理由