10歳もホクロを除去する時代
「女優の○○、密かにホクロを除去していた」といった記事を目にすることがあります。2月には女優の内田理央さんが唇のホクロ除去を行ったことを明かしたことがニュースになりました。
このように最近は自分で公表する方も増えている印象です。ホクロだけでなく、イボについてもデヴィ夫人や田中みな実さんが、除去したことを報告しています。
今、ホクロやイボの除去手術やレーザー治療は珍しいことではなく、私のクリニックでは少ない日でも毎日2、3人は除去希望の患者さんがいらっしゃいます。低年齢化も進んでおり、ホクロは10代の患者さんが増えています。
当クリニックの最年少は10歳の女児。やはり顔の正面など、人の目に入りやすい位置のホクロを除去したいという理由が多く、若い男性の患者さんも増加傾向にあります。また、ホクロやイボの位置によっては服で擦れて血が出てしまう、ひっかかって痛いという理由で、除去を希望するケースも多いです。
イボだと思ったら皮膚がんだったケースも
しかし、このようにホクロやイボの除去が身近になったからといって「簡単にとれる」と考えるのは大変危険です。実際、昨年12月には国民生活センターが、ホクロやイボがとれると謳い、SNSの広告などで販売されている海外製の「点痣膏」の使用中止を呼びかけています。
一概にホクロ、イボといっても大きさ、種類によって除去方法が異なるだけでなく、ホクロやイボだと思っていたら皮膚がんだったというケースもあります。まずは自分のホクロ、イボがどのようなタイプか知ることが大切です。ホクロとイボはどちらも黒や茶色ですが、ダーモスコープという専用の拡大鏡を用いて判別します。
ホクロは医学的には色素性母斑といい、皮膚にメラニン色素を産生するメラノサイトが変化した良性の母斑細胞が集まって増えることによってできます。
イボは大きく分けて2種類あり、1つはウイルス性のものです。ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚や粘膜の細胞に感染してイボができるもので、HPVの型によって尋常性疣贅、顔や腕に多い扁平疣贅と分類されます。HPVにはさまざまなウイルスがあり、子宮頸がんを発生させるものとは異なります。