治療期間とダウンタイムまで考慮して治療を選ぶ

液体窒素凍結療法のデメリットとして、時間がたてば薄くなるものの、皮膚に強い炎症が起きたときにできる炎症後色素沈着というシミが、レーザー治療に比べるとできやすいことが挙げられます。また、液体窒素凍結療法の場合、跡が残らないように何回かに分けて行うこともあるため、1~3週間程度の通院間隔で合計1、2回、大きいイボの場合は5~10回ぐらいの通院になることもあります。

これはホクロ、イボの除去に限りませんが、治療にかかる時間、痛みや外出できるようになるまでのダウンタイムなど、メリット、デメリットをしっかりと理解した上で治療方法を選択することが大切です。ただ、ホクロやイボの除去後、「○週間ぐらいでほとんど跡が目立たなくなります」と伝えても、「目立たない」の感覚に個人差があるのが非常に難しいところです。

顔のイボを除去して「若々しくなった」

後天性のホクロ、ウイルス性、加齢性のイボは、完全に予防することはできませんが、生活の中で気をつけることができます。

まず、ウイルス性のイボは細かい傷からウイルスが侵入しやすくなることから、保湿などのスキンケアが有効です。加齢性のイボは紫外線、肌への摩擦が影響しているので、日焼け止めをこまめに塗る、できるだけ肌をこすり過ぎない、保湿などのスキンケアをしっかり行う、ということが予防につながります。

実際、イボに困って受診する患者さんの中で、若い頃に海水浴で日焼けした、ゴルフ、サーフィンをやっていたという患者さんは少なくありません。体のイボが男性の患者さんに多いのは、もしかしたら日焼けに対する意識が女性より低いことが関係しているのではないかと考えています。

ホクロもイボも良性であれば、無理に除去する必要はありません。しかし、顔の目立つ位置や擦れやすい位置にあることで、コンプレックスや肌トラブルの原因になっている場合は、患者さんのQOLが大きく向上します。

当院ではホクロやイボの除去を希望する患者さんは若い方が多いですが、以前、80代の患者さんが顔にたくさんあったイボを除去され、「若々しくなった」と大変喜んでくださったことがとても印象に残っています。美容に対する意識の変容、超高齢化社会が進む中で、今後は10代の希望者が増える一方で、70代、80代にも広がっていくでしょう。

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