手元ばかり見て話していては説明が届かない

 子どもの頃、「人の目を見て話しなさい」「話を聞くときは、相手の目を見て聞きなさい」と言われませんでしたか。お互いにアイコンタクトを取ることで、信頼感が生まれますし、お互いの表情を確認し合うことができます。

プレゼンのとき、原稿やスライドばかりを見ていると、聞き手がどのような反応をしているかを見ることができません。ですから、自分の説明を相手にしっかり届けたいなら、アイコンタクトを取るべきです。目を見ると緊張してしまう人は、相手の眉間のあたりを見るといいでしょう。

1対1でプレゼンをするなら、相手の目を見て話します。ただ、ずっと目を合わせていると、相手は緊張してしまいますので、問いかけをしたり、相手からの返答を聞いたりするときに、3秒くらい目を合わせるといいです。

うなずきながら聞いてくれる人とアイコンタクトを取る

相手が数人程度であれば、一人ひとり順番に目を合わせる形で、アイコンタクトを取ります。大きな会場の場合は、一番後ろの人にも届くように意識しつつ、ブロックごとに特定の人を決めて、視線を配ります。

深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)
深谷百合子『賢い人のとにかく伝わる説明100式』(かんき出版)

例えば、右の列、真ん中の列、左の列それぞれにいる特定の人とアイコンタクトを取るのです。あなたの話を聞いて、「うんうん」と頷いたりリアクションをしてくれたりする人が、会場には必ずいます。そういう人を見つけて、その人に向かって話すような感じでアイコンタクトを取ると、自分も話しやすくなります。

1つだけ注意しておきたいのは、「アイコンタクトを取らなければいけない」と、相手の目を見ることが目的になってしまうことです。

アイコンタクトの目的は、相手と心を通い合わせながら話をすることです。目を合わせることだけにとらわれず、その人と会話をするような意識でアイコンタクトを取ってください。1対1でも1対多数でも、キャッチボールの相手は常にひとりです。ひとりの目を見て、その人に話しかけるようにすると、相手にも「私に話をしてくれている」と思ってもらうことができます。

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