「ウェブCMの公開終了」を批判するのは筋違い

三菱UFJ銀行の件は、どちらのケースも考えられる。ただ、銀行口座から窃盗が行われた、不適切な相手に入金が行われていたという事実は、三菱UFJ銀行としては非常に気になるところだろう。

大谷翔平選手の写真をヘッダーに使用する三菱UFJ銀行の公式Xアカウント

非公開になったCM動画が「大谷翔平選手がアプリで口座開設に挑戦!」「大谷翔平選手がアプリで銀行振込に挑戦!」という内容で、事件発覚の直後にこの2本が非公開になったというのは、タイミングが良すぎる(悪すぎる?)と思われてもやむを得ないだろう。

いずれにしても、お金そのものを扱い、セキュリティーを重視する銀行が、この事件に神経質になることは当然のことであり、ウェブCMの公開終了を批判することは筋違いである。

今後、どのような事実が明らかになるのかは、今の時点ではわからない。ただ、大谷選手を広告起用している企業の中で、本件に最も神経質になっているのが三菱UFJ銀行であろうし、今後も三菱UFJ銀行が先行して先行して判断を行うことになると思われる。

他社がその判断に追随するかは、各社の個別の判断になるだろうが、少なからず三菱UFJ銀行の動向は影響を与えるだろう。

「今後もCM継続」とは断定できない

では、今後も大谷選手の広告起用が継続されるかといえば、そうとも言い難い。

大谷選手自身が違法賭博を行っていなかったとしても、借金の返済を肩代わりしていた、あるいは水原氏の入金の事実を知っていたという事実が改めて明らかになった場合は、再検討がされることになるはずだ。セキュリティ、コンプライアンスを重視する企業にとって、大谷選手起用の継続がイメージ低下につながらないかという点から、判断がなれることになるだろう。

この問題が早々に片付いて、企業側も落ち着いて広告・宣伝活動が行えるようになることを願いたい。