手取りが減っていると同時に肝に銘じたいのは、将来のために準備すべき金額は多くなるということです。公的年金については、支給開始年齢が68~70歳に引き上げられたり、年収が高い人では支給額が頭打ちになる可能性もあります。手取りが減っていくのに対応しながら貯蓄に力を入れる必要があるわけです。

そのためには、年間の手取り額と、1年間で貯蓄できた額を確認し、いくらあれば生活できるかを把握します。さらに教育費や老後のためにいくら貯蓄が必要かを具体的に計算。年収が高ければ手取りの3割は貯蓄したいところです。

共働きは収入が多い分、支出も膨らみがちですが、お互いの稼ぎや、どの程度のペースで貯蓄しているかは透明化すべき。いやなら、家庭のために貯蓄する額を決め、実行の具合を確認し合える口座をもつなどの方法を考えましょう。

今後、サラリーマンの手取りは確実に減っていきます。「茹でガエル」にならないよう、現実を知ることから始めましょう。

年収500万円

控除の大幅カットで「扶養妻」は限界に
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年収500万円世帯の家計

妻が専業主婦、15歳以下の子供が2人の場合、2011年に15歳以下の扶養控除(年少扶養控除)が廃止され、12年から住民税が増えるため夫の手取りが減少(所得税は11年から負担増)。厚生年金保険料も毎年増えている。

子供2人で年額24万円の児童手当が支給されるが、子供のために全額使うと生活費には回せない。夫のみの手取り400万円前後では楽ではないが、会社員が収入を増やすのは難しい時代。妻が働きに出るなどの方法で収入アップを図りたい。

シングルの場合、もともと扶養控除がないため、扶養控除廃止の影響は小さく、手取り額の減少は社会保険料のアップによるもののみとなる。ここでは30代の例で、介護保険料負担はない。