たとえば年収500万円で15歳以下の子供2人の場合、夫の手取りは11年から年8万7600円のダウン。月にならすと7000円程度の減少であまり気付かないかもしれませんが、年収で考えると家族旅行をやめざるをえないというほどのインパクトがあります。

一方で、児童手当が支給されますが、就職率の低下などを考えると、子供に返済義務のある奨学金などを利用させるのは避けたいところ。手当は初めからないものとして、教育費の準備に回すのが得策です。

毎年の収入減はボディブローのようにきいてきており、「もう切り詰めるところがない」という世帯も少なくないようです。かといって会社員の年収を増やすのは難しい状況。そうなれば、妻の収入を増やすことを考えたほうが現実的です。

扶養控除を受けるために、妻はあえて扶養の範囲内で働いている家庭は少なくありませんが、パート労働者でも一定の要件を満たす人には厚生年金、健康保険の適用が拡大される方向で検討されています。年金についても専業主婦に該当者が多い第3号被保険者は、いつも槍玉に挙がっており、将来的に保険料がかかる可能性もないとはいえません。

目先のことだけを見れば、中途半端な収入では社会保険料がかかって損をするのでは、と考えがちですが、健康保険に加入すれば病気で休職しても傷病手当金(給与の6割程度を給付)が受けられる、厚生年金に加入すれば老後資金が増えるなど、恩典も少なくありません。なにより、夫と妻の両方が収入を得て、収入の分散を図れば、安心感が増します。「扶養の範囲内で働いたほうが得」という考えを捨てて、少しでも収入アップを図るべきです。

まずは手取りが年々減っていく現状を認識し、夫婦で危機感を共有すること。家計を支えるために働くのは辛くても、子供のためとなれば働く意欲が湧くお母さんも多いようですから、「子供の将来のため」というキーワードで話し合ってみてはいかがでしょうか。