定年後のセカンドキャリアにも活かしやすい
関連した分野を見つけるには、自分といつも一緒に仕事をしている人のスキルや分野を探すというのが、ひとつの方法でしょう。たとえば、私のところにメディアの方々が取材にこられる場合には、ライターとカメラマンが一緒にというパターンが多いです。これはライターのお仕事とカメラマンのお仕事がかなり関連している(専門用語で言うと補完性が高い)からです。
この場合に、たとえばプロのカメラマンほどではないにしても、ある程度写真も撮れるようになると、ライターのお仕事の幅もかなり広がります。あるいはカメラマンの方でもある程度文章が書けるようになると、できる仕事が増えます。これがスキルの斜め展開のわかりやすい事例です。実際、最近は一人の方が来られて、文章も書いて写真も撮ってという取材が増えてきています。
また、一般的には、定年後のセカンドキャリアを考えるときには、元の会社よりも規模の小さい会社に移る場合が多いです。そうなると、元の会社よりは人も少なくなりますから、営業一筋でがんばってきた人でも、営業だけでなく他の仕事もして欲しいというパターンになりがちです。であれば、多少経理もできる営業の人、あるいは多少営業もできる経理の人というのが、重宝されることになります。これも、スキルの斜め展開のひとつのパターンでしょう。
もちろん自分の関心の持てる分野というのが大前提ですが、このようにスキルの斜め展開によって、できる仕事の幅を広げておくと、未来のチャンスを拡大することに役立つはずです。
学生時代の勉強は短距離走、大人の勉強は長距離走
とはいえ、多くの社会人の方々にとって、学びを考える際の大きな悩みは、やはり十分な時間を確保できないことだと思います。そのため、
「時間がないことを前提にすること」
が重要になります。
学生時代の勉強は、陸上競技にたとえると「短距離走」でした。とにかく短い時間で、できるだけたくさん詰め込む。それに対して大人の勉強は、「長距離走」でなければいけません。何かの資格試験を受けるといった場合は短距離走的な勉強が必要ですが、目の前にそうしたゴールが設定されていないなら、地道に歩めばいいのです。
とはいっても短距離走的なやり方しか教わってこなかったので、ギアの切り替えが必要です。長距離走的な学び方のポイントは、「楽しみながら勉強する」ことにあります。受験勉強のときは短い年月だとわかっていたから、我慢もできました。しかしゴールのない長距離走は、楽しめなければ決して長続きしません。
趣味と同じように、学ぶことの楽しさや、知識を吸収して能力を身につけることの楽しさを味わうことが大切です。その点、ある程度の人生経験を踏まえた人なら、景色を楽しみながら走るように、楽しく学ぶペース配分もできやすいはずです。