本は「批判的な目」で読むことが大切

3冊の入門書を読み比べると、内容や書き方の違いが見えてきます。自分に合いそうだと感じた本があれば、その段階で精読に取りかかりましょう。そして「この分野でいこう」とテーマを決めたら、その本に紹介されている参考文献や、同じ著者の別の本へ進めばよいのです。

本を読むときには、本書の5章で紹介した「ケンカ」が大切です。つまり書かれていることを鵜呑みにして覚えるのではなく、本当にそうだろうかと批判的な目で読むことが大切です。そして、書いてあることに疑問を差しはさみ、それを今度は著者の代わりになって答えてみる。そんなふうに、読者と著者の立場を行ったり来たりすると、より内容をしっかり頭に入れることができるでしょう。

勉強のためにカフェで読書をするアジアのビジネスマン
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オススメは「スキルの斜め展開」

ここまでは、どちらかと言えば、自分の経験に比較的近い、それを整理するのに役立つ学問の探し方を説明してきました。けれども、自分の関心や問題意識が、今までの経験に沿ったところにあるとは限りません。もう少し別の分野を学んでみたい、視野を広げたいと思う人も少なくないでしょう。

そんな方々にとっても、前節の3冊の入門書を選んで、その分野を概観してみるやり方は有効です。

けれども自分の経験とまったくかけ離れた分野を学ぶことには抵抗感があったり、難しいと感じてしまったりする人も多いことでしょう。そんな方々にお勧めなのは、「スキルの斜め展開」をめざす勉強です。これはどういうことかというと、自分の今までの経験をそのまま活かしていく(タテ)のでもなく、まったく別のことをやる(ヨコ)のでもなく、自分の経験を少し広げる(斜め)ことによって、自分の分野を広げていこうというものです。

何が斜めの分野かというのは、厳密に定義をするのが、難しいですが、自分がよく知っている分野と関連した分野で、関心が持てそうなところというのがわかりやすい定義かもしれません。