自分の中の「バランスの悪さ」に目を向ける

もし、グルメや旅行といった汎用的な趣味がない方には、「自分の中の『バランスの悪さ』に目を向けて、ネタを探してみる」というのをお勧めしたい。人より10倍時間と金を使っているものがあれば、それはあなたの強みだ。決して恥ずかしがる必要はない。そういったマニアックな話や趣味は武器になる。

私の同期に韓国アイドルのファンがいた。会食中のあまりの熱量にゲストが感化され、その後クライアントがキャンペーンで韓国アイドルを起用する際の担当にその同期が抜擢された、という事例もある。どのようなジャンルでもいいので、自分が熱をもって打ち込めるものを増やしていく。それが結果として仕事に繋がることは十分考えられるのだ。

忘れてはいけないのは、ゲストの人生に興味を持つことだ。相手の人生に対して真摯しんしに向き合う覚悟を持つことが、堅牢な人間関係の構築には不可欠だ。

誰にでも武器になる失敗談がある

役職の高い方がゲストにいらっしゃると、つい自分をアピールするために大きく見せようとしてしまいがちである。しかし忘れないでほしいのは、発言内容ではなく、「実際の行動」こそがその人の見極めに使われるということだ。会食メソッドに沿って徹底した準備ができていたなら、それだけでゲストは驚くはずだ。

会食中は、決して背伸びして自分を伝えなくてよい。付け焼き刃の知識で食やワインに関するうんちくを語る必要もまったくない。むしろ、自分の手痛い失敗談こそ会食においては鉄板ネタとなる。トラブル・失敗談は人生の宝物になると心得よう。

ビジネスランチ
写真=iStock.com/filadendron
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「お誘い」は絶対に口約束で終わらすな

会食メソッドに沿ったディレクションを通じてクライアントが満足し、場が大いに盛り上がった場合にはその場で「また飲もう」「ゴルフに行こう」といった話になるかもしれない。

これは、またとないチャンスだ。必ずものにしなくてはならない。他者は自分が思っている以上に、「些細な約束でも守る人物かどうか」を見ている。「口では盛り上がりながら、結局次の行動に移さない人間」は、知らない間に減点されてしまうのだ。

まず、その場で手帳・社用携帯を取り出して日程を相談しよう。その場での日程調整が難しかった場合は、次の日の御礼メールと合わせて具体的な日にちを自ら出すように。

もしかしたら相手は口約束程度と考えており、温度感が異なるかもしれない。

しかし、それでもだ。それでもチャンスを逃さないために、行動に移そう。

どんなに良い縁や機会に巡り合っても、繋げなければ可能性は広がらないのだ。