結論をいうと、お小遣いを減らしてでも、教育にはお金をかけてください。子供の教育には、今何を教えるべきか、という“旬”があります。同じ1年でも、2歳から3歳、19歳から20歳、40歳から41歳とでは進歩の度合いが段違い。年齢が低いほど伸びが大きい。そこでお金をかけておけば、伸びはもっと大きくなります。後で「あのときお金をかけておけばよかった」と後悔しても、もう間に合いません。
将来、給与の高い職に就くか、食うや食わずの職に就くかは、子供自身のみならず親の老後の安心にも繋がります。昨今の大変厳しい就職難を勝ち抜くには何が必要かを考えると、人間性に加えてやはり学歴は大きな要素です。私も、教員の採用の際は否応なしに出身大学を見ますよ。
これからは、グローバル競争の時代です。例えば、中国やインドのビジネスマンと競争していかねばなりません。最低限、英語やパソコンのスキル、欲を言えば中国語も習ってほしい。しかし、子供が本当に必要としているのは、そうした知識ではありません。難しいことに挑戦し、それをクリアした喜びをたくさん経験させることなんです。そうすれば、次の難関にも「できるだろう」と進んで向かっていくことができます。学校に加えて塾でもこのサイクルを積み重ね、心身に十分沁み込ませることが、子供の将来にとってものすごく大きい。苦労せずのんびりしてきた子は、先行きでいきなり高いハードルに直面し、萎縮することになってしまいます。
教育を母親に任せっ放しのお父さんが多いのですが、世の中の激変を踏まえつつ子供の教育を考えられるのは、お父さんしかいません。お子さんが小さいときほど小遣いが欲しいものですが(笑)、月3回の飲みが2回に減っても大して困らないでしょう。
鳥海十児
1934年、京都府生まれ。立命館大学大学院中退。75年、朝日塾開塾。2007年までに朝日塾幼稚園・小・中・高校を開校。