子供服への進出は根本解決にならない

ここまでカジュアル化を積極拡大してきたワークマンですが、同時にそのデメリットも顕在化しつつあり、さらには伸び代もいよいよ少なくなってきました。しかし、ワークマンは矢継ぎ早にリカバリー戦略を打ち出しています。このあたりの対応はさすがです。

ワークマンのリカバリー戦略は、以下の4つに分けることができます。

1、子供服専門業態「ワークマンキッズ」の立ち上げ
2、ワークマン女子の積極的出店
3、シニア向け腰痛サポート製品の新投入
4、新開発の肌着を投入

この中でメディアやSNSで最も話題となったのは子供服専門業態の立ち上げです。ただ、子供服自体はすでにワークマン女子などでも売られていましたので、全くの新商材というわけではありません。子供服専門業態として「ワークマンキッズ」を立ち上げ、ワークマン女子の中に併設させるということです。目標とする売上高200億円はまずまず妥当な目標といえるでしょう。

ワークマンキッズ
画像=同社プレスリリースより
2月22日に開店したWorkman Kidsの全国1号店「イオンモール沖縄ライカム店」の様子

子供服は元来大人服よりも市場規模が小さい上に、少子化が進んでいるので200億円が極大値だと考えられます。

子供服業界では昔から「売上高300億円の壁がある」といわれており、この300億円の壁を突破して長期間維持できたメーカー型ブランドは存在しません。いったん300億円を突破したブランドも、もれなくそこから200億円台へ低下してしまいました。ですから、200億円というワークマンの中長期的目標は極めて妥当な数値設定だと感じます。

ただ、子供服もファッション衣料なので、毎年4シーズンのモデルチェンジが必要となり、売れ残り品番を大量に発生させる可能性が高いと言えます。値引き処分品が増えて営業利益率を低下させかねないでしょう。

「ワークマン女子」の拡大は危険な賭け

ワークマン女子の積極的出店について、ワークマンは2024年9月から2025年3月までの7カ月間で路面店25店舗を一気に出店させると発表しており、恐るべき急ピッチといえます。

ただ先ほども述べたように、ファッション用途のワークマン女子を積極的に出店すればするほど売れ残り品番も増えるので値引き販売も増え、営業利益率を悪化させることにつながります。個人的にはこれはかなり危険な賭けとなると思います。もしかしたら、将来的にワークマンの屋台骨を揺るがす事態になる可能性も低くはないと見ています。