ファッション衣料は「値引き販売」とセット

停滞のもうひとつの理由として考えられるのが、売れ残り商品の「値引き販売」が増えたことです。値引き販売するともうけが減ることは自明の理です。近年アパレル業界で「プロパー(定価)販売」がやや過剰気味に叫ばれているのはそれが理由です。

ではなぜ売れ残り品が増える傾向なのかというと、それは近年急速に推し進めてきたファッション化のデメリットが顕在化してきたためと考えられます。

ワークマンが画期的と評価されたのは「作業服を一般向けにも売ること」にありました。作業服は元来、作業員が作業時に着用する服なので、モデルチェンジのサイクルが3~5年と長く、長期間で売り切るという商品でした。ですから、発売年に売れなくても値下げせずに翌年以降も定価で販売することができました。

これを当初のワークマンは商品を共通化することで一般向けとしても販売していたので、値下げをせずに複数年で売り切っていました。このため、値下げによる営業利益の減少は起きにくかったわけです。

カジュアル服はサイクルが早く、販売期間も短い

しかし、カジュアル服は嗜好しこう品としての性質が強いため、最低でも年に4回はシーズンごとの新モデルを投入せねばなりません。言ってみれば販売期間は3カ月しかありません。長くても半年です。当然全品番を売り切ることはできません。

ワークマンとて同様です。その結果、期末には値引き販売される品番が必ず出始めます。2月半ば時点の公式通販サイトでは20品番の衣料品の値下げ販売が確認できました。これまでのワークマンでは考えられないほどに値引き販売の品番数が増えています。

同社はワークマン女子、ワークマンプラス、ワークマンカラーズと一般向けファッション業態を増やすことを明言していますから、今後も売れ残り品番が期末に値引き販売されるケースは増え続け、値引き販売が常態化すると考えられます。

#ワークマン女子前橋吉岡店
#ワークマン女子前橋吉岡店(写真=Happiness626/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

ワークマンのアンバサダーである山田耕史氏も自身の記事で「一般客向けの製品は売り場の鮮度を高めることを目的に、マークダウンしてでも売り切る方針であることが語られた」と言及していますから、今後もカジュアル向け用途を拡大させ売れ残り品を値引き販売することはワークマンとして既定路線だといえます。