楽天モバイルへの巨額な投資がグループの足を引っ張っている

楽天モバイルへの巨額な投資は楽天グループ全体への収益の足を引っ張り続けています。この状況が好転するためには楽天モバイルの加入者が増加する以外に方法はありません。

この視点で言えば、良いニュースが2つあります。一つは楽天モバイルが悲願のプラチナバンドを獲得したことです。現在楽天モバイルが使っている周波数帯はビルの中などには電波が届きにくいという欠点があります。実は楽天モバイルはこれまで基地局に巨額な投資をしてきた結果、都市部であればかなりつながりやすくなってきています。かつてのお試し無料の時代に、楽天モバイルをサブ機として使ってみて「つながらないな」と感じて解約したユーザーが一定数いたのですが、その前提は大幅に変わっています。

現在、楽天モバイルがつながりにくいと感じる人たちは、オフィスの自分の席がビルの奥側にある人や、自宅の自室がマンションの内側にある人などで、この欠点がプラチナバンドの獲得で今後は緩和されていくことが期待されます。

iPhone
写真=iStock.com/grinvalds
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楽天グループ苦境の原因は「大手3社の大幅値下げ」

もうひとつの追い風はライバルである携帯3社が新プランでそれぞれ値上げを試みていることです。そもそもの楽天グループの苦境の原因は、菅政権が推進したスマホ価格の大幅な値下げでした。それまで大手3社の基本プランは月額7000円だったところを、総務省の指導の形でそれぞれ2980円前後という格安プランを導入させたのです。

楽天モバイルは月間利用ギガ数が無制限で上限2980円(税抜)という低価格が売りだったのですが、その強みが菅政権の政策によって消滅してしまいました。ところがこの値下げプランは大手3社にとってもダメージがあったようで、各社「実質値上げ」をしています。3社が値上げ方向にプランを揺り戻す動きが強まれば、楽天モバイルの価格優位が再び力を持つようになります。

このようにプラチナバンドの獲得と、大手3社の実質値上げは楽天モバイルにとっての追い風になってはいるのですが、結局のところ500万回線の契約数が倍の1000万回線へと増えていく道筋が見えない限り、このままでは楽天グループは経営破綻するリスクを抱えているというのも真実です。