楽天モバイルの利用者が大幅に得をする設計

一方で今回の改定で得をする人たちがどのようなグループかというと、ひとことで言えば楽天モバイルの利用者が大幅に得をするようになります。私がその典型ですが、楽天モバイルの契約者でダイヤモンド会員以外のいわゆる楽天市場のライトユーザーの場合、これまでの還元率は2%でしたが、12月からは還元率が4%になります。

楽天市場では買い物をするたびにベースとして1%がポイント還元されますから、楽天モバイルに入ると自動的に合計5%までポイント還元されることになります。その4%分の上限が2000ポイントということは月5万円の買い物で上限に達するのですが、ライトユーザーである私の月間のインターネット通販利用額は2万円前後なのでこの点でも上限に触れることはありません。

しかも会員の実人数という点では12月からの改定で得をするライトユーザーの数の方が、損をするヘビーユーザーよりも圧倒的に人数が多いわけで、その意味で今回の改定では「改悪だ」と叫ぶ楽天ヘビーユーザーの声がかき消される傾向が生まれました。

オンラインショッピングのイメージ
写真=iStock.com/Abdullah Durmaz
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一部のヘビーユーザーより、500万人の楽天モバイル会員をとった

結局のところ「楽天モバイルを契約すると楽天経済圏でとても得をするようになった」と歓迎するユーザーの数が多いのが今回の改定の特長です。楽天モバイルの契約数はじわじわと増加していて今年8月に500万回線を突破しました。

楽天モバイルが巨額の赤字を生むという現在の状況では、楽天グループが限られたポイント原資を誰に振り向けるかは生き残りのためには大きな意味を持ちます。今回の改定は、一部のヘビーユーザーが怒りを表明しようとも、それよりも500万人の楽天モバイル会員から感謝の声があがる仕組みにしようという改定です。戦略的な意味としては、楽天モバイル加入者が増える方向に力学が働きますから、企業戦略として考えれば合理的な改定です。これがこの記事の前半の結論です。

さて、ポイント改定にそのような意味があるとして、その裏にもうひとつの論点があります。楽天が生き残るかどうかという大問題です。この記事の後半では、この楽天問題が日本経済にとって重要な意味を持つということをお話ししたいと思います。