ルフィは逮捕されたのに、また強盗事件が…

ルフィ逮捕後の強盗事件の19日前――。

2023年2月7日、一連のルフィ事件をめぐり今村麿人ら4人がフィリピンから日本に強制送還され、逮捕された。ふてぶてしい表情で羽田空港を歩く今村らを映し出すニュースを目にしながら、連日報道されていた広域強盗事件が、これで終結するのだと安堵あんどした国民は多かったはずだ。

その時、取材を続けていた筆者は旧知の人物の言葉に戦慄せんりつを覚えていた。

「減るわけないだろ。近いうちにまた起きるよ。次は福島や宮城で起こると思うね」

そして、3週間も経たずにその“予言”は現実のものとなった。

民家に強盗 男数人逃走 福島・南相馬 住人77歳 殴られ重傷
26日午後3時40分頃、福島県南相馬市のAさん(77歳)の家族から、「父親が血だらけになっている」と110番があった。Aさんは自宅に侵入してきた数人の男に棒状の物で殴られ、現金数万円などを奪われたといい、頭の骨を折る重傷。県警は強盗致傷容疑で逃げた男らの行方を追っている。(読売新聞 2023年2月27日付 ※記事では被害者は実名

瓜田らが起こした事件は記事を読むに、一連の「ルフィ事件」の手口と同様だった。(ルフィの残党がいるのか……)そう感じずにはいられなかった筆者は“予言”をした男の元に出向いた。

「名簿屋」の予言が当たった理由

「名簿屋」を訪ねると、挨拶もそこそこにまくしたてた。

「ほら言っただろう。ここ数カ月福島や宮城あたりの名簿がよく売れていたそうだ」

そう言うと、「最新のものではない」と断りを入れた上で当該名簿を見せてくれた。そこには、名前、住所、年収や資産など、詳細な個人情報が載っていた。

とくに資産額が大きい人物については、自宅近くの防犯カメラの位置まで記されていることに驚かされた。これは強盗のためのリストと言っていいだろう。名簿屋に疑問をぶつけた。

防犯カメラのイメージ
写真=iStock.com/Artystarty
※写真はイメージです

「強盗用? うん、そう思ってもらってもいい。2008年ころ、オレオレ詐欺全盛期に全国の『ターゲットリスト』というものがほぼ完成してたんだけど、それが近ごろ、更新されるようになった。当然、今起きている強盗にも使われていると思うね」