「結局、みんな満足できるセックスをしたい」

現在、一緒に暮らしている女性がいるが、他にも付き合いを続けている女性が2人おり、体力がなくなりつつある今、このまま続けていけるかどうかが悩みどころだという。しかし、いつまでも男として格好良くいたいという気持ちがあり、その気持ちは歳を重ねても変わらないだろうという確信もある。

中山美里『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社新書)
中山美里『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社新書)

70歳が目の前に迫ってきたからこそ、「何もしなければ、おじいちゃん化してしまう」という気持ちとのせめぎ合いがあるのだとヒロシさんは話す。

「きれいな女性と一緒に街を歩いているとみんなが見てくれるじゃないですか。その優越感って男にとってはモチベーションになるんです。でも、それだけじゃ足りない。どんなにきれいな奥さんがいても、そこに信頼とか一緒にいて楽しいというのがないと、長い間一緒にいるうちにやっぱり満たされなくなっていく。結果、みんなしたいんですよ。一緒にいて楽しい相手と、満足できるセックスを。

そのセックスをできない人間が、妬みで批判するだけなんだと思っています。倫理観や道徳観を守って生きていったところで、誰かがそれを褒めてくれるかといったらそんなことはないでしょう。結局、幸せで充実していて、楽しい人生だったというのは自分が決めることなんですよね。避妊をするとか性病を持ち運ばないなどの最低限のルールは必要だけれど、その範囲内で楽しむ分にはいいんじゃないかな。最後、死ぬ時に俺の人生まんざらでもなかったって思えるように生きるのがいいよね。俺は今死んでも、そう思えますよ」

15年間の性的な冒険を経て、思い残すことがなくなったとヒロシさんは話した。性的により良い人生を生きる……今時の言葉なら“セクシャルウェルネス”だと言えるのではないだろうか。

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