「彼女+介護士」という超技能職

「怪我や病気、体調不良が若い人よりありがちなので、ドタキャンもあります。『あれ? 最近連絡が来ないな』と思っていたら、『お酒を飲んだら転んでしまい、大事を見て少し入院していました。退院したので会いましょう』なんてこともありました。もっと早く言ってくれたらお世話しに行ったのにと言いましたよ」(同)

彼女は完全に相手のニーズに合わせてお付き合いをしていると話す。ジジ活とはもはや、「彼女+介護士」という超技能職なのではないか。このまま交際が続けば、ここに家政婦も加わるかもしれない。

「結婚したから配偶者以外とは出会うことすら良くないこととされる風潮がありますし、ジジ活や風俗のようなものは倫理に反するという考えの人も多くいますが、私にとっては介護業務の延長……というか、こっちが本当の介護の仕事なんじゃないかと思っているくらい。人生にものすごく深く関わっているなという充実感がありますね」(同)

高齢者の肩に手を添えるイメージ
写真=iStock.com/seb_ra
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「結局、自分の生きたいように生きるのが正解」

そう言うトミコさんは、かつて自分の祖母の介護もしてきた過去を持つ。

「介護の仕事の現場では、ふとした時に性の話になると、『こんな歳だから、性的なことはさすがにね』と言う女性もいます。そういう時、抑圧していないかと心配になります。私の祖母は96歳まで生きたのですが、晩年は認知症がひどく、食べても食べてないと言ったり、8時に起こしてくださいと言われたので起こすと、その3秒後には『寝かしてください』と言って寝てしまうような日々でした。そんな時期に、『おじいちゃん以外とデートしたかったな』『おしゃれして出かけたかったな』とずっと言っていました。

心残りだったのかなと思うんですよね。人と人の関係って様々で、夫や妻以外の相手と関係があったとしても、それを一概に悪とするのはおかしいと思います。配偶者以外の人との触れ合いの中で、自分の生きがいを見つける人もいるわけですし……。結局、自分の生きたいように生きるのが正解なのかもしれませんね」(同)

その人が生きたいように生きる時のサポートを、彼女はスペシャルな介護士として行っているのだと筆者には思えた。