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富裕層がNGを出す営業マンの性向

ただ、「富裕層に営業しろ」と簡単に言いますが、では富裕層のことを知っているのかと言いたい。年収400万円の相手と、年収4億円の相手とではアプローチの仕方がまったく違う。会食もミシュランの三ツ星、土産物も2万~3万円の一流品。まず相手を知ることです。それには富裕層がやっていることを自分で体験するといい。リッツ・カールトンでコーヒー、新幹線はグリーン車、一泊10万円の部屋に宿泊等々。要はそういう投資ができるか否かです。

共感の次は信頼。つきあう相手として選ばれることです。ただし富裕層は体験に基づいた鋭い観察眼を持っています。松下幸之助さんは、面談相手の帰り際の後ろ姿を見たそうです。話しているときは立派でも、緊張が解けたときに背中に出る本性を見て信頼できるか否かを判断していたのでしょう。

会話のリアクションもよく見ています。ある富裕層にお会いしたときは、いきなり「おまえはFPだから、俺の金を絶対に増やせるんだな?」と言われました。「絶対かどうかわかりません」などと答えたら、そこで期待値ゼロ。できる人なら即座に「はい、大丈夫です」と答え、自分のプロフィールと実績をありのままに言います。

富裕層は事実と正確なデータを欲しがり、曖昧な答えを嫌います。

「だいたい□□」「たぶん○○」といった言葉は聞き逃しません。「それはどこで調べたのか」と容赦なく突っ込んでくる。著名人とのツーショット写真を見せたら、「じゃ、おまえ電話してみろ」。成功者は自分にも他人にも厳しい。お金は命。100円といえども粗末に扱われたくないんです。自分が信頼に足る人間かをきちっと相手に伝えられなければいけません。

そして、失敗したときが非常に大事です。潔く謝れる、土下座できる人は信頼される。信頼は潔さの表れです。責任を取れる奴はちゃんと謝るし、謝り方にも心がこもっています。逆に、ミスしたときに逃げる奴は怖いし、物事を任せられない。「○○が言ったので」のような口癖を、成功者は聞き逃しません。他人のせいにする人は、逃げ癖がついているから成長がない。成功者が一番嫌う人です。

1億円倶楽部(株)代表取締役 江上 治(えがみ・おさむ)
1967年生まれ。大手損保、外資系保険代理店支援営業の新規開拓分野で全国1位を4回受賞、ファイナンシャル・プランナーとして独立。著書に『一生かかっても知り得ない年収1億円思考』。
(1億円倶楽部(株)代表取締役 江上 治 構成=金井良寿 撮影=小原孝博)
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