営業先が「本当にほしいタブレット端末」は何か
ニーズには、「顕在ニーズ」「潜在ニーズ」に加え、相手のさらに深い部分に存在するニーズ、つまり、顕在ニーズと潜在ニーズの裏側にある「ニーズの裏のニーズ」があります(第1回参照)。
「ニーズの裏のニーズ」を追うためには、「プロービング(曖昧、不完全な回答に対する深掘り)」、徹底的なヒアリングを行う必要があります。
どのようなヒアリングをするのかについて、一般企業の例で説明しましょう。
ある企業でタブレット端末を導入するときに、「起動が早い」「いつでもネットにつなげられる」というニーズがあったとします。
深掘りをするために、営業が次のような質問をしたとしましょう。
営業「起動が早いというのは、どれくらいでしょうか?」
お客様「ポチッと押したら、すぐに起動できるといいな。0.1秒くらいだね」
営業「0.1秒でよろしいですか?」
お客様「うん、いいよ」
ここで、質問が止まってしまいます。この営業はこれ以上深掘りができません。
他の質問も考えてみましょう。
営業「いつでもネットにつなげられるというと、どれくらいの範囲での接続ができればいいですか?」
お客様「ドコモの回線ぐらいかな」
営業「他にはありますか」
お客様「ドコモレベルだったら、他にはいらないね」
再び、深掘り質問が止まってしまいました。
最終ゴールは「営業の生産性を上げること」
どのようにすれば、ニーズを深掘りすることができるのでしょうか。
次のような質問の仕方で「ニーズの裏のニーズ」を深掘りしていけるのです。
営業「起動が早くて、いつでもネットにつなげられることが必要なのはなぜでしょうか? どのような成果を求められていますか?」
お客様「うちのセールスって出張が多いんだよ。でもセールスってせっかちでしょう? パッと開いてくれないと入力を後回しにしちゃうんだよ。でも情報共有と書類作成は速くしてほしくて、営業の効率を上げたいんだよね」
営業「なるほど、セールスの情報共有と書類作成を速くされて、営業の効率を上げて、生産性を上げたいんですね」
お客様「そうそう」
営業「そうすると営業の生産性を押し下げていそうなことに、他に何か思い当たることはありますか?」
お客様「ああ、情報共有にまだメールを使っているんだけど、本当はチャットのほうがいいと思っているんだ」
営業「なるほど、ではグループワーク用のチャットを提案に入れておいたほうがいいですね。生産性を押し下げていそうなことは、他にはありますか?」
お客様「うーん」
ここで、止まってはいけません。
さらにこちらからの仮説の価値を当てに行くのです。