約束するだけでは意味がない

このように言語化のプロセスを踏んでいくことで、ようやく「怒鳴る」を減らすことができるようになるはずです。

中川瑛『孤独になることば、人と生きることば』(扶桑社)

「もう怒鳴らない」と約束しても意味はありません。どんな状況で怒鳴ってしまうのかを考え、その状況がなぜ引き起こされるのかを考え、それが引き起こされることを促す自分の考え方にまで辿り着いて、ようやく「私の言葉」を掴むことができ、そうして人と話し始めることができるのです。

そして人の話を聞くときも、相手を尊重するように尋ねる必要があります。そうでなければ相手はだんだん自分の言葉を言ってくれなくなります。これまで傷つけ続けてきた場合には、「なんでも言っていいんだよ」「言っても怒らないから」などと言っても全く効果がない可能性があります。

それは、これまで散々相手を尊重してこなかった結果だと思って、反省する必要があるでしょう。小さなことから1つひとつ尊重の言語化を日々行い、相手が生きやすい言語化を一緒にしていくことで信頼を改めて培っていくしかありません。

「出来事」を直接変えることはできませんが、パターンや構造やメンタルモデルを理解して、それを変えることはできます。普段無意識に感じたり考えていたりすることを「内的に言語化すること」は、まさにこういった背景にあるものを引っ張り出して、名前をつけ、別の形や方法もあるのかもしれない、と「気づき」を得ることに他なりません。

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