男性にも知ってほしかった
だからある意味仕方なく、痴漢犯罪をひそかにやる男性がいる実態を伝えるために声を上げなければならないのだけど、男性は、性のコントロールについて女性に口を出されることをものすごく嫌悪する傾向があります。
「放っておいてくれよ(笑)」というのはネットでもリアルでも個人的に男性たちから言われ続けてきました。まあ、確かに私も男性から女の性欲についてやかましく言われたら嫌なので気持ちはわかるんですけども。
それでも私は、男性たちに、「一部の男性が性の何かをこじらせて、中高生という子どもや女性、男性に対してとんでもない加害をひっそりしていること」を知っていてほしかった。
それは、被害に遭っている現場で助けてもらえる可能性が高まるからです。
加害者のむちゃくちゃな「脳内ストーリー」
例えば電車の中で痴漢する時の男性というのは、普通に電車に乗ろうとしている人たちと明らかに動きや見ている先が違うので、ハタから見ていると「この人やりそうだな」と分かることがあります。
必要以上に女性にくっつこうとしたり、ジーッと女性の体を見ていたり、不自然なのです。
痴漢犯罪をする人たちの間では「痴漢OK娘」という用語があり、「この世の中には痴漢されるのを待っている女子がいるからそれを俺は探してあげている」というむちゃくちゃな脳内ストーリーで自分の行為を正当化していることがあるようです。
つまり、全く見ず知らずの人を、自分が一方的に触ったりくっついたりしているだけなのに、頭の中では「この女性も同意している」「むしろ待っている」「喜んでいる」と脳内変換しているのです。
確かに、そういう脳内ストーリーが発動していないと、いきなり知らない人の体に触ったりすることはできないですよね。普段はちゃんとした職場できっちりした役職に就いている人が突然逮捕されたりするのは、電車内だけとか限定でむちゃくちゃな脳内ストーリーが発動してしまうから、と考えるとしっくりきます。
私が中高生の頃、痴漢加害者の手をつかんで怒った勇敢な友達もいました。しかし、知らないおっさんの手をつかむなんて私にはできませんでした。
逆ギレされて殴られるかも、勘違いされて行為がエスカレートするかも、迷っているうちに次の駅に着いて、別の車両に移動するしかできることはありませんでした。そしてなかったことになってしまう。
ハァハァして当然のように自分の体を触ってくる大人の男を1人で駅員につまみ出すなんて、まず考えられませんでした。学校に行かなきゃいけないし。だから痴漢に遭っても結局は「やめてください」と震えながら言うか、黙って避けるくらいしか策がなかったです(現在はさまざまな痴漢対策があります)。
その男の社会的失墜を求めているわけでもなく、ただ痴漢加害をしないでほしいだけでした。