台湾にも多い「プロダクトマネジャー制」の企業

台湾にもプロダクトマネジャー制を採用している企業が多い。

ある会社は社員数が300人程度だが、15人ほどのプロダクトマネジャーがいた。社内にはハードウエア、ソフトウエアの担当者がそれぞれグループを形成していて、製品開発の際にはプロダクトマネジャーがそれぞれのグループから適切な人材を招集する。そして開発のプロセスをマネジメントする。

この会社と日本企業の両方で働いた経験を持つ技術者によると、日本企業ならハードウエア、ソフトウエアそれぞれの課長が調整して開発に当たらせるのが普通だという。つまり同じ業界でも台湾企業のほうが、「自営型」に近い仕事のスタイルを取り入れているわけである。なおアメリカ企業の一部でもプロダクトマネジャー制度を取り入れているし、日本企業でも採用している例がある(ただし日本企業の場合は部長・課長などの管理職がその役割を担っているケースが多い)。また中小企業のなかには、営業担当者が製品の設計から試作まで行っている事例があることも付け加えておきたい。

オフィスで電話する男性
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大手製薬会社ではAIを活用して「自営型」を実現

つぎに、国内の現場に注目してみよう。「自営型」導入の可能性が高い職種として「営業・マーケティング」があげられる。そこで、ある大手製薬会社における営業のケースを取りあげよう。

この会社の場合、以前は糖尿病、癌というような領域別に担当が決められていたが、一人ですべてを担当するゼネラル制に切り替えられた。その結果、かつては一つの医療機関を3、4人が担当していたのが、現在はエリアごとに一人で担当するようになった。

ゼネラル制に切り替えられた理由として、領域別だとエリアごとの課題や医療圏の課題が見えてこないことがあげられている。さらにITの普及も背景にある。営業の担当者はIBMが開発したAI、「ワトソン」を活用しており、医療関係の新たな論文が発表されるとすぐに読むことができる。担当エリアの売り上げや他社の情報も、以前は薬品卸やマーケティング担当に聞いていたが、いまはワトソンがメールで教えてくれる。ITの普及により、個人で質の高い仕事ができるようになった典型的な例である。

建築や不動産の業界にも「一気通貫制」を取り入れる企業が登場してきた。