自分の後ろ姿が語ること

それにしても、今現在コミックスの最新巻である7巻を読み返すのは切ないが、1巻目の冒頭には勇気をもらった。1ページ丸ごと、田中さんの後ろ姿だ。

何でもないシンプルな制服の長袖シャツに、タイトなスカート。後ろで一つ結びにした、長い黒髪。朱里はその後ろ姿の姿勢の良さ、体のラインの美しさに、「絶対 何かやってる」と気づき、見抜くのだ。

地味なアラフォーの体形が変わったなど、朱里以外は誰も気づかないどころか、後ろ姿など見る人もいない。でも、朱里だけはセクシーだと見惚れた。

「私は本心など誰にも見透かされていない」と思っていた朱里は、なんでもない後ろ姿から、田中さんのベリーダンスだけでなく心の持ちようまで見透かしたのだ。

自分の後ろ姿も何かを語り、誰かがきっと何かを気づいてくれる。それを教えてくださった芦原さんのマンガに出会え、ベリーダンスも教えてもらえ、私も世界が広がった。

芦原さんのマンガは、これからも寂しい後ろ姿の人たちを救い続けていくはずだ。

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