調査概要/上場企業約3600社に対して質問紙の郵送による調査を実施、366社より回答を得た。調査期間は2011年2月14~23日。回答は広報担当または人事担当による。特に記載のない限り、グラフはこの調査結果をもとに作成。

リーマン以降風向きが変わった

「企業で英語を重視する動きがあるが、騒いでいるほど現場では進んでいないというのが実情だろう。というのも、経営トップは3年から5年先、あるいは10年先を見通して必要なことを社員に求める。しかし、社員は日々の仕事で忙しい。経営者の眼と現場の眼にギャップがあるためだ」

こう語るのは組織・人事変革のコンサルティングを手がけるマーサージャパン社長の古森剛氏である。

「グローバル化と言われ始めてもう20年は経つ。あらためていま英語力が話題になっているのは、リーマンショック以降、海外展開をしないと生き残れない、と本気で経営者が思うようになった」ことが背景にあると古森氏は指摘する。

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昇格の条件・英語の活用状況

実際、ビジネスの現場で英語はどの程度使われ、必要とされているのか。それを明らかにするため、プレジデントでは11年2月、全上場企業を対象にアンケートを行い、うち366社から回答を得た。

まず「英語テスト(TOEIC等)およびその結果を社内で活用していますか」との質問に対して「はい」と回答したのは全体の33.6%で3社に1社。活用されているテストのほとんどが「TOEIC」だった。

続いて「TOEICスコアを昇進・昇格の要件にしていますか」という設問には、13.7%の企業が「している」と回答。

「要件にしている」と回答した50社のうち、76%を製造業が占めた。古森氏はいう。

「製造業では早い時期から調達のため海外との接点が多かった。ただ、以前は英語ができる人が全社員の2~3割程度いればよかったのが、海外売上比率が高くなったいま、それでは間に合わない」