自民党は派閥を通じて党内世論を集約
安倍派は19日夜、党本部で臨時総会を開き、派閥を解散する方針を決めた。塩谷氏や5人衆はこれで幕引きを図ろうと、その後の記者会見などで「不記載の状況は知らなかった」「秘書に任せきりだった」と責任逃れに走り、議員辞職や離党は考えていないと居直った。
西田昌司参院議員は総会後、「我々は知らなかった、というのは普通の組織ではあり得ない」と記者団に述べ、幹部が責任を取るよう求めた。福田達夫元総務会長は記者団に「派閥ではなく新しいガバナンスの形で集団を作っていく」と明らかにした。福田氏ら中堅・若手30人は総会に先立って安倍派の解散と幹部の責任を求める決議文を塩谷氏に提出していた。安倍派は解散前に瓦解していたのだ。
二階派は19日午後、緊急議員総会で解散を決めたが、二階氏は今後の政治活動について「人は自然に集まってくるものだ。自然体で、常識の範囲でやっていきたい」と述べ、近い将来の「派閥」復活を示唆した。
森山派は25日に解散を決定した。関係者によると、次の選挙は「裏金」のお詫び、言い訳で始まるが、無派閥なら守旧派と見られないことが理由だという。森山氏には、菅、二階両氏との連携関係もあっての選択だろう。
安倍派は当面、そのままの形では復活できないが、岸田、二階、森山3派は早晩、「政策集団」として復活するのではないか。
自民党は派閥の連合体だ。自民党政権は派閥の合従連衡で形成されてきた。派閥の効能は、カネ(集配)、選挙(応援、新人発掘)、人事(閣僚や党役員、国会の委員長)、情報交換(国会情勢など)だった。自民党は派閥を通じて統治し、党内世論を集約し、政治を前に進めてきた。メディアが自民党の動きを追ううえで、担当記者を派閥ごとに割り振っているのも、こうした背景がある。