「夜遊びと裏金はどちらが悪い?」
政治責任を取ろうとしない安倍派幹部への批判が強まったのは、23日の党の政治刷新本部の中間とりまとめ案に「政治責任に結論」と明記され、何らかのけじめが必要との認識が党内に広がったためだ。
自民党は党の品位を汚す行為を処分対象にしている。21年1月、新型コロナウイルス緊急事態宣言中に深夜、東京・銀座のクラブで飲食したとして、松本純元国家公安委員長(麻生派)ら3人が党紀委員会で離党勧告処分を受け、離党した例もある。党内に「夜遊びと裏金はどちらが悪い?」との声も上がる。
茂木氏が23日の記者会見で「当事者が、政治責任についても、結論を得ていく必要がある」と述べ、その後、塩谷氏に電話で「幹部として政治責任をどうするか、よく相談して考えたらどうか」と暗に離党を求めたのも、党内の空気を伝えたものだった。
だが、茂木氏の言動が25日の読売新聞に報じられると、安倍派から「監督責任を取れというなら、岸田、二階両派も同じではないか」などと猛反発を招く。政治責任を盾に政治闘争を仕掛けてきた、と受け止めたからだ。安倍派に影響力を持つ森喜朗元首相が25日、麻生、茂木両氏を訪ね、「本当に処分するのか」と問うたことで、茂木氏は引き下がらざるを得ず、「策に溺れた」ともいわれている。
安倍派は31日、政治資金収支報告書20~22年分の訂正を総務省に届け出た。パーティー収入は3年間で4億3500万円、収入総額は4億5300万円が記載漏れだった。これに関連し、同派の小森卓郎総務政務官と加藤竜祥国土交通政務官が不記載を認めて辞任した。
安倍派は同日、所属議員らの95団体への寄付額の追加が5年分で6億7600万円に上ると明らかにした。特捜部は、同派の不記載について5年間で6億7500万円と認定している。
安倍派幹部らの処分については、党執行部による聴き取り調査を経て、政治刷新本部などで引き続き協議されるが、夜遊びよりも党の品位を汚しているのは間違いない。