ハイリスク投資は土台を作った上で
ただポートフォリオは全体のバランスが重要です。まず「1段目」として「つみたて投資枠」で土台を作った上で、「2段目」に高配当株、「3段目」にリスクの高い中小型成長株、というふうに組み立てるといいでしょう。
高いリターンだけに注目して、土台を作らず、テンバガー系のハイリスク投資だけに絞るのはご法度です。
個別株投資で大切なのは、金銭的なリターンだけを意識しないことです。
もちろん、金銭的リターンを得ることが第一義的な目標なのですが、それだけに意識を集中してしまうと、株価の上下動だけが関心の中心になり、勝ったか負けたかだけで投資の成否を判断してしまう懸念があります。
「セルフESG投資」こそ本来の株式投資
株式投資は、(ほんの一部とはいえ)皆さんご自身が会社のオーナーの一人になることを意味します。もし、奥さまあるいはご主人やお子さまに、自分が投資していることを説明する時に、「この株を持っていればカネがもうかるんだ」と説明をするのと「私は、みんなが幸せになり、しかもちゃんと収益も上げられるこの会社をオーナーとして応援しているんだ」と説明するのと、どちらが良いでしょうか?
かつて松下幸之助は、「世のため、人のため、ひいては自分のため」という言葉を残しました。あるいは、二宮尊徳は「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」と説きました。
本来の株式投資は、単にカネさえもうかれば良いという考えではなく、会社のオーナーとなって会社と共に成長し、その会社が社会に役立つ事業を育て、成功することでその利益を共に享受する、というもののはずです。
ただ、何が今の私たちの社会にとって大切か、という関心や価値観は人それぞれ異なります。そこで、自分が解決したいと考える社会課題を自ら選び、それを解決してくれる企業を選んで投資することを、私は「セルフESG投資」と呼んでお薦めしています(ESGは、Environment、Social、Governanceの略で、環境課題や社会課題、あるいは企業の経営課題に注目した投資スタイルを指します)。
セルフESGにのっとった投資先の選び方は過去の記事『社会課題を解決する「セルフESG投資」入門』や、拙著『「会社四季報」で発見 10倍稼ぐ!ESG株』をぜひ参考にしてください。