新NISAの開始でアメリカ株の比率が大きいインデックスファンドが人気を集めている。複眼経済塾の瀧澤信さんは「アメリカ株に偏重したポートフォリオは、急落の際に思わぬ損失に直面することがある。各国に分散しバランスよく投資するほうが無難」という――。

「現金が安全」の時代は終わった

日本では長い間、デフレの状態が続いてきましたが、いままさにインフレに転換しようとしています。

インフレを初めて経験する人も多いと思いますが、デフレからインフレに転換すると、これまでの常識が非常識になってしまうほど、大きな変化が生じます。

これまで、皆さんは「現金は安全」と教わってきたのではないかと思います。そのため、なるべくお金をためることが、堅実な人のすべきことと思ってきたはずです。

ところが、インフレになると、この常識がひっくり返り、「現金が危険」な存在に成り代わってしまうのです。

過去30年間の消費者物価指数
出所:総務省統計局「消費者物価指数」データより複眼経済塾作成

500万円の価値が270万円にほぼ半減

物価が上昇すると、現金の実質価値が年々目減りしていきます。

いま年収500万円の人がいるとします。毎年3%のインフレが続く場合、20年後に同じ生活水準を維持するには約900万円近くの年収が必要になります。

物価上昇のペースとともに、年収が上昇すればあるいは問題はないのかもしれません。

ですが、実際に年収が上がるかどうかは、誰も保証してくれません。

また同じく年3%のインフレが続いた場合、現金500万円の価値は、20年後には270万円ほどと、ほぼ半減してしまいます。

つまり、インフレ時代においては、現金が危険な財産なのです。

インフレでも実質価値が目減りしない、インフレ耐性の強い資産を持っておかなければ、これからの時代、財産を守ることはできないのです。