本当に必要な老後資金は約4500万~6000万円

直近2019年の財政検証では、年金のカバー率(所得代替率)は、61.7%となっています。

現役世代の月収手取り額は35万7000円(世帯年収428万4000円)。これに対し、年金支給額は月額22万円(夫婦2人あわせて年額264万円)、不足額は月13万7000円(年額不足額164万4000円)になります。

仮に「老後」を70才~90才の20年間とすると、夫婦での不足額は合計3288万円です。金融庁試算の「2000万円」より、約1200万円も多いのです。

しかも、これはあくまで2019年時点の試算にすぎません。20年後にもっと少子高齢化が進んでいる可能性や、インフレを加味すると、もっと悪化します。

私の試算では楽観的に見ても約4500万円、悲観的に見積もると約6000万円が不足すると予想されるのです。

新NISAを使えば実現可能

必要な老後資金が4500万円~6000万円と聞くと、大変な金額に感じるでしょう。ただ新NISA(つみたて投資枠)を上手に使えば、そこまで非現実的な金額ではありません。

もちろん、投資ですから「必ず達成できる」とは言えません。ただ、過去の実績から見れば、十分可能な数字だと考えられます。

例えば、日経平均株価に連動するインデックスファンドに毎月5万円ずつ、過去30年間積立投資していたら、約4000万円になっていたはずです。決して好調とは言えない日本株に投資していても、これだけの好結果なのです。

仮に絶好調だったアメリカのS&P500指数に毎月5万円ずつ30年間投資していたとすると、なんと約9000万円になっていました。

つまり、老後不足額の4500万円~6000万円は、オーソドックスな指数連動型のインデックス投資で十分実現できたのです。

日経平均を30年間積み立てた場合
出所:複眼経済塾
S&P500を30年間積み立てた場合
出所:複眼経済塾