退職金が入っても「細く長い」つみたて投資を続けてほしい
家計が整ったところで、満を持して投資のスタートです。黒字化によって切り崩す必要がなくなった預貯金680万円のうち、生活費7.5カ月分である約300万円を当座資金として差し引き、毎月の家計から残る分と残り380万円の貯金から月5万円ずつ、NISAのつみたて投資枠の方に積み立てることになりました。お二人は今回が初めての投資なので、投資の“いろは”が分かってきた段階で、毎月の積立額を増やしていく計画です。
気をつけてほしいのは、退職時。マサトシさんは、60歳で、およそ1500万円程度の退職金が出る見込みです。そこで金融機関の営業マンの口車に乗せられて退職金をつぎ込まず、長い期間をかけて少額ずつ積み立てを続けてほしい。金融庁の資産運用シミュレーションによると、仮に今の57歳から77歳まで、貯蓄や退職金の一部を月5万円ずつ20年間積み立てていけば、利回り3%で1641万5100円になる計算です。
投資は「太く短く」ではなく、「細くても長く」行うのが大原則です。「新NISAをいかにフル活用するか」「1日でも早くしないと損だ」という考えにとらわれる人は多いですが、急いては事を仕損じます。NISA情報に頭を支配されず、自分の家計をよく見て、時には中立公正な第三者の意見を聞き、着実に資産を増やしていってほしいと思います。
(構成=桜田容子)