大人世代から若い世代へのLINEのイメージ。漢字と句読点が多く、一見して画面が黒い
大人世代から若い世代へのLINEのイメージ。漢字と句読点が多く、一見して画面が黒い(撮影/写真映像部・和仁貢介)
若い世代同士のLINEのイメージ。短い言葉で句読点は一切使わない
若い世代同士のLINEのイメージ。短い言葉で句読点は一切使わない(文はともに編集部作成)(撮影/写真映像部・和仁貢介)

相談とは基本的には傾聴の姿勢が大切で質問がメインではないが、必要なときもある。たとえば、先方の状態について質問したいとき、「あなたのいばしょ」ではイエスかノーかを迫ることになる「?」は使わないことにしているという。

「かといって句点で止める問いかけをしてしまうと会話を切ることになるので避けたい。そんな場合はたとえば『そうだったんですね。。。。。。』と打ちます。句点を複数にすると逆に、共感性が生まれてくるんです」

気遣いのすれ違いが

質問するということは、相手の気持ちに踏み込んでいくことであり、「侵襲性」が生まれやすい。それをなるべく軽減するためにも、若い世代の間で広く使われている句点の複数利用を心がけていると大空さんは言う。

「チャット相談には声色などの非言語情報がなく、感情の変化や揺らぎはチャットの文字に目を凝らし、読み取るしかない。改行なしの長文で思いの丈を書いてくる人は『かなりいろんな思いを抱えておられるな』とか、句点が多い人は『相手のことも少し気遣いながら話をしておられるんだろうな』など、そこからパーソナリティーの側面を判断することもあります」

 句点の使い方ひとつで、異なる世代との間に共感を生んだり、思わぬすれ違いが生まれたり。気をつけるべきことは何か。高橋さんは、「無理解なままお互いを否定しないこと」を挙げる。

「若い世代が句読点を廃し、短い言葉でやりとりする背景には、タイパの意識が強い世代であることも大きい。無駄なやりとりはせず相手を待たせない、ということも彼らにとっては正義だし、気遣いでもあるわけです」

 一方で大人世代にとっては相手が読みやすいように句読点もつけながら、長文になってもきちんと伝える。それが相手への気遣いだ。つまりは、双方の気遣いのやり方がすれ違っているだけだと高橋さんは言う。

「少し歩み寄ってみるのもありかなと思います。大人が若い世代にLINEするときは句読点を減らしてみる。逆に若い世代は、失礼と思うらしいし冒頭に少し挨拶でもつけておくか、とかその程度でもいい。大事なのはふだんのコミュニケーションです。LINEで怒ってるかなと感じても、対面で『すみません、何か怒らせましたか』『そんなことないよ』みたいなやりとりができる関係を日頃から築いておけば、それほど深刻な問題にはならないと思います」

(編集部・小長光哲郎)

当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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