「偏差値では東大かもしれないが…」

京都大の合格者は水増しのため例年より約1400人も多い。京都大合格高校ランキングが大きく変わった。

灘102人(前年比73人増)、ラ・サール82人(同72人増)、愛光47人(同38人増)、東京学芸大学附属42人(同36人増)となっており、甲陽学院、洛南、千種、天王寺、四條畷、三国丘なども合格者数を増やした。洛南95人のうち現役は64人となっており、このうち東京大合格者が30人いる。

工学部と理科一類に受かった男子(京都・洛南)が話す。「京大に行くことに決めました。自分としては東大へ行きたかった。東京に行って足が棒になるほど下宿を探して歩いたんですが、いい部屋がない。かといってマンションになれば、両親に負担をかけさせてしまう。一日中、東京をかけめぐった結果、京大に決めました」(『週刊文春』87年4月2日号)。

農学部と理科二類に合格した男子(宮城・仙台第二)はこう言い切った。「自由な学風がいい。偏差値で東大かもしれないが、実績、就職では大した違いがあるわけではないし、好きなほうを選んだ」(『サンデー毎日』87年4月12日号)。

◆入学定員2716人/志願者1万5156人/合格者4140人/入学者2802人(女子304人)〈ここから合格者の現浪別は未掲載〉

超進学校はこぞってダブル受験

【1988年】

文、経済、教育の3学部は定員のほとんどをB日程に移した。東京大文系学部との併願を避けたかったからだろう。そのため東京大とのダブル合格者は前年比約260人減の1250人となった。

ダブル合格者の学校別上位校は①灘59人、②開成37人、③東大寺学園36人、④洛星34人、⑤東京学芸大学附属28人、甲陽学院28人、⑦麻布26人、洛南26人だった(『サンデー毎日』調べ)。87年に京都大、東京大とダブル受験できるようになったとき、大阪星光学院、甲陽学院、広島学院、愛光、久留米くるめ大学附設、ラ・サールなど関西以外の中高一貫校が京都大合格者を増やすなか、東大寺学園は減少した(64人→54人)。

【図表5】1988年の京都大学合格者別高校ランキング
1988年の京都大学合格者別高校ランキング(出所=『京大合格高校盛衰史 天才たちは「西」を目指した』)

しかし、同校は88年に76人と前年比22人増となる。東大寺学園はもともと京大志向が強かったが、87年に東京大、京都大ダブル合格した生徒が多く、その影響で88年に両方を受験する後輩が増えたのでは、という見方があった。駿台予備学校からはダブル合格者629人を出している。

同予備校広報情報部次長はこう話す。「東大の辞退者は、一部の例外を除いてほとんどが京大に流れたと推定できます。第一志望が京大で、東大は複数受験のチャンスが与えられたので、いわばついでに受けたという受験生」(『週刊読売』88年7月9日号)。