※本稿は、内藤誼人『人間関係に悩なやまなくなるすごい心理術69』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。
自分は「まったくダメだ」と思っても、周りの人は思っていない
人前で話すのが得意な人などいません。たいていの人は、スピーチが終わった後で、「うまく話せなかった」と気分が落ち込むのではないかと思います。
けれども、それは本人の思い込みであって、実際にはそれなりにうまくできている場合が多いので、そんなに落ち込まないでください。
カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のリン・アルデンは、50人の男女大学生にビデオの前でちょっとしたスピーチをしてもらいました。スピーチが終わったところで、参加者たちに自己評価をしてもらうと、とてもネガティブな意見ばかりが出ました。「しどろもどろでまったくダメ」「声が震えていた」「支離滅裂で、私が何を言っているのか、全然伝わっていないだろう」のように。
次にアルデンは、撮影したビデオを他の判定者に見せて、発表者についての評価を求めてみました。すると、「自然に話せている」「不安も感じていないように見える」と、意外に好意的な意見が数多く返ってきたのです。
結局のところ、「うまくできなかった」というのは本人の否定的な思い込みにすぎず、実際にはだれでもそれなりにうまくスピーチできているのです。悪い評価をしているのは、自分だけ。自分で自分のことをイジメているのです。
この研究からわかるように、かりに自分では「まったくダメだ」と思っていても、周りの人はそんなふうに思っていないことのほうが多いということを知っておくとよいでしょう。
自分に厳しくすることは重要ですが、あまりに厳しく自分をイジメてはいけません。自分ではまだまだだと思うからこそ、人は自己成長できるのですが、あまりに自分をイジメすぎるのも考えものです。
自分では「これっぽっちもうまくできたとは思わない」と感じていても、周囲の人にはわりと評価が高いこともよくあることですので、かりに自分では失敗だと思っても、そんなに自責の念に駆られることもないと思いますよ。